28. 『ルカ様の生き様を“絵本にして教科書にしたい”と国から正式にお願いされました』
ある朝──。
公爵邸に、金の封蝋が押された文書が届いた。
【魔法文化省より】
件名:《国民情操教育絵本・特別枠》企画提案
「ルカ・エインズレイ様のこれまでの軌跡を、絵本化したいと存じます。
読者年齢:0歳〜999歳まで。
対象:全国民。魔物含む。」
父:
「全国民てなんじゃ……しかも魔物含むて……」
母:
「つまり全生命対象よ。もはや聖典レベルね」
◇
僕は、ミミルと一緒に書斎にいた。
「ぼくの人生……まだ5年くらいだけど、絵本にしていいのかな?」
ミミル「ぴぃ……」(いいと思う)
「でも、まだまだ何にも知らないし、たくさん間違うと思うよ?」
ミミル「ぴぃ」(でも、間違える姿こそ、やさしい)
◇
後日。
王都から絵本作家が10人ほど派遣され、僕の密着取材が始まった。
──起床風景(ミミルにちゅってして起きる)
──園までの道(周囲の園児が勝手に護衛隊)
──昼のおやつ時間(全員が同じものを食べて涙)
──語録の誕生(言葉が自然に魔力で記録される)
記者A「“心の動き”が、まるで詩ですね……」
記者B「この子、やさしさが“空気感染”してる……」
◇
そして、完成した見本誌が屋敷に届いた。
絵本タイトル:『ちいさなての、まほう』
帯文:「5さい、転生者。やさしさで世界を照らす、ルカ様の日々。」
内容構成:
1章:生まれた日と、ミミルのこと
2章:初めての言葉「ありがとう」
3章:空中庭園と“涙のクッキー”
4章:語録と、だれかの心を守る日々
僕はそれを読みながら、そっとミミルを抱きしめた。
「……これが“ぼくの一部”になるなら、うれしいな」
ミミル「ぴぃ」
その日から、全国の保育園・小学校・魔法学院で
“朝の読書時間”にこの絵本が使われるようになった。
【読者の声】
「毎朝1ページ読むだけで、泣ける」
「子どもより先に親が泣く」
「読後、子が兄弟に“ごめんね”って言い出して尊すぎて倒れた」
◇
そして、明日の語録にはこう記される。
『ぼくのことを知ってくれて、ありがとう。
それって、ぼくがここにいていいよって言ってくれたみたいで、うれしかった』
──その言葉に、また一冊、絵本が生まれるのだった。




