27. 『“ルカ様になりたいです!”が園児の将来の夢1位になり、先生が本気で悩みました』
園では、年に一度のイベントがやってきた。
「将来なりたいもの発表会」
「みんな、自分の夢を発表してみましょうね〜!
なんでもいいんですよ〜! おまわりさんでも、魔法使いでも、騎士でも!」
先生はニコニコしていた。
……そう、発表が始まるまでは。
◇
トップバッター:ユリウス(ツンデレ王子園児)
「ぼくの夢は──“ルカ様になること”です!!」
先生「……えっ」
2番目:レオン(脳筋系純情園児)
「ぼくも! ルカ様みたいに、みんなを笑顔にできる男になりたいです!」
先生「いや、ルカ様は“存在”であって“職業”では……」
3番目:ノア(インテリ系やさし男子)
「ルカ様になるのは無理なので、せめてルカ様の専属絵本係になりたいです」
(※職業として成立していない)
──そのあとも。
「ルカ様の服を作る人になりたいです」
「ルカ様を守る王国を建てたいです」
「ルカ様の声を保存して研究したいです」
先生、ついにホワイトボードにでかく書いた。
『ルカ様はなれません!』
◇
その日の午後、職員会議が開かれた。
議題:
・将来の夢が“ひとつの存在”に集中することの是非
・“ルカ様”を職業として扱うかどうか
・ルカ様本人に“夢の多様化”をお願いすべきかどうか
◇
その頃──空中庭園では。
僕はミミルと星見塔で静かにおやつを食べていた。
「……みんな、夢が“ぼく”になるのはちょっと困るけど……」
ミミル「ぴぃ」(でもうれしいでしょ?)
「……うん。ちょっとうれしい。ちょっと、だけね」
その日の語録は、園に静かに貼り出された。
『ぼくにはなれないけど、きみだけのやさしさで、世界をまもれると思うよ』
──園児たちはそれを読み、次の日から夢をこう言いかえた。
「じゃあ、ルカ様“みたいに”なりたいです」
「ルカ様を見て、自分の優しいとこを育てます!」
先生は静かに泣いていた。
「これ……教育じゃなくて、“浄化”ですよ……」




