26. 『ルカ様が絵本の読み聞かせをしただけで、園児も保護者も泣き崩れました』
その日、園では“好きな絵本を紹介する日”だった。
先生が言った。
「今日は、みんなのお気に入りの絵本を一冊持ってきてもらいました〜!
できたら、読み聞かせもしてみましょうね〜!」
僕は、ちょっとだけ考えてから、ママにもらった一冊を持ってきた。
タイトルは、『まほうの ことばの うた』。
大切なひとに、言葉を届けるお話。
◇
順番が回ってきて、僕が前に立つと──
園児たちは自然と正座。
ミミルは絵本を見守る台座の上。
ユリウス「もう感動した……まだ読んでないのに……」
レオン「黙れ……ルカ様の声が始まる……!!」
──ページを開いて、僕は、ゆっくりと読んだ。
「ことばってね、きみのなかにある きらきらの たねなんだよ」
声が、静かに、でもやわらかく園全体に広がった。
「やさしいときも、うれしいときも、かなしいときも……
ことばって、きみに、そっと ついてくる」
みんなの目が潤んでいる。
先生もハンカチを持っている。
「……だれかの こころに、ことばが とどいたら、
それって、ちいさな まほうの しるしだよ」
◇
──読み終わると、園児たちは立ち上がって拍手。
先生はその場で泣き崩れ、ミミルもぽわっと光を放った。
次の日。
園には“保護者見学希望者”が殺到した。
【見学申込フォーム・一部抜粋】
・ルカ様の声を聞きたいので仕事休みました
・癒しが足りません。1分でもいいので現地で聞かせてください
・息子より先に泣きます、すみません
園長が言った。
「園の“絵本タイム”が、国家文化行事レベルになってきてるんだけど……」
◇
夜、僕はミミルと並んで絵本をもう一度開いた。
「……ねぇミミル。ぼくの声でも、だれかが安心してくれるなら、うれしいね」
ミミルは優しく鳴いて、ページの上にそっと手をのせた。
──その姿がまた、尊すぎて。
翌朝の語録はこう記された。
『言葉は魔法。声は羽。あなたの笑顔に、届いたらいいな』




