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26. 『ルカ様が絵本の読み聞かせをしただけで、園児も保護者も泣き崩れました』

その日、園では“好きな絵本を紹介する日”だった。


先生が言った。


「今日は、みんなのお気に入りの絵本を一冊持ってきてもらいました〜!

できたら、読み聞かせもしてみましょうね〜!」


 


僕は、ちょっとだけ考えてから、ママにもらった一冊を持ってきた。


タイトルは、『まほうの ことばの うた』。

大切なひとに、言葉を届けるお話。


 



 


順番が回ってきて、僕が前に立つと──

園児たちは自然と正座。

ミミルは絵本を見守る台座の上。


ユリウス「もう感動した……まだ読んでないのに……」

レオン「黙れ……ルカ様の声が始まる……!!」


 


──ページを開いて、僕は、ゆっくりと読んだ。


「ことばってね、きみのなかにある きらきらの たねなんだよ」


 


声が、静かに、でもやわらかく園全体に広がった。


「やさしいときも、うれしいときも、かなしいときも……

ことばって、きみに、そっと ついてくる」


 


みんなの目が潤んでいる。

先生もハンカチを持っている。


「……だれかの こころに、ことばが とどいたら、

それって、ちいさな まほうの しるしだよ」


 



 


──読み終わると、園児たちは立ち上がって拍手。

先生はその場で泣き崩れ、ミミルもぽわっと光を放った。


 


次の日。

園には“保護者見学希望者”が殺到した。


【見学申込フォーム・一部抜粋】

・ルカ様の声を聞きたいので仕事休みました

・癒しが足りません。1分でもいいので現地で聞かせてください

・息子より先に泣きます、すみません


 


園長が言った。


「園の“絵本タイム”が、国家文化行事レベルになってきてるんだけど……」


 



 


夜、僕はミミルと並んで絵本をもう一度開いた。


「……ねぇミミル。ぼくの声でも、だれかが安心してくれるなら、うれしいね」


ミミルは優しく鳴いて、ページの上にそっと手をのせた。


──その姿がまた、尊すぎて。


翌朝の語録はこう記された。


『言葉は魔法。声は羽。あなたの笑顔に、届いたらいいな』


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