25. 『魔力量を測ろうとしたら測定器が壊れて、“ルカ様は概念です”と結論づけられました』
王都・魔法省 本部。
厳重な封印結界の奥、そこにあったのは──
国家に一台だけ存在する、超高精度魔力量測定器【セラフィム・ゲージ】
「……これは、大陸最高の魔導士でも半日かけて測れるレベルです」
「うちの息子は、たぶん、そこまでじゃないとは思いますけど……」
ガルド(父)は、淡い期待と警戒を込めて腕を組んでいた。
◇
その日。
僕はふつうに朝ごはんを食べて、
ミミルと一緒に園に行く前に「ちょっとだけね」と測定室に入った。
「ルカ様。ここに立っていただいて……」
「魔力を、“なにも考えずに”放っていただければ結構です」
「うん。わかったー……んっ」
──その瞬間。
《ピィィィィイイイイイイイイ!!》
測定器が、爆音を響かせて発火。
「……え?」
「嘘……一瞬で、限界超えた……!?」
「上限が10,000なのに、数値が……ナナメに……!??」
「記録が……立体に……立体グラフになってる!?!?」
魔法省の職員たちが次々と倒れ込み、
測定器が“天井を突き破って”空に光柱を放った。
王都魔法警報:発令中(原因:不明魔力の膨張)
◇
騒ぎの中、ミミルをぎゅっと抱きしめて、僕はつぶやいた。
「なんか……ごめんなさい……?」
数日後、魔法省は緊急の会見を開いた。
【魔法省公式発表】
件名:ルカ・エインズレイ様 魔力量測定不能事件
結論:魔力量・魔質・魔導因子のすべてにおいて“非定義”
分類:概念(CONCEPT)
備考:存在そのものが“祝福”と一致するため、あらゆる魔力体系に属さない
【市民の反応】
「ルカ様は、もう“魔法”じゃなくて“愛”で動いてるってこと……?」
「つまり、存在が魔法」
「概念と同居してる5歳児が、なにげなく園に通ってるって平和すぎない?」
◇
園では先生が言った。
「は〜い、今日からルカ様には“概念様”って呼ばないようにしましょうね〜。怒られちゃうからね〜」
ユリウス「え、じゃあ“神様”でもいいですか?」
先生「それもアウトですね〜」
◇
その夜。
僕は空中庭園で、ミミルと空を見ながら、そっと言った。
「……ぼく、ただのみんなの友だちでいたいのにね」
ミミルはぴょんっと跳ねて、僕のほっぺに頭をこすりつけた。
──そして、翌日の語録にはこう記された。
『なにができるかより、だれと笑ってたいか、のほうがたいせつ。』




