24. 『魔法植物学者がルカ様の“波動”を再現した花を開発し、街が優しさに包まれました』
その日、屋敷に訪れたのは──
ぼさぼさ髪、丸眼鏡、白衣に魔力染みが点在した男。
肩には小さなサボテンをのせていた。
「はじめまして、魔法植物学者のクラリオですぅぅぅ!!」
「……うるさい」パパの第一声
彼が取り出したのは、小さな鉢植えだった。
淡い桃色に、うすく金が混じった花弁。
触れた瞬間、ほんのりと懐かしい気持ちが胸に広がった。
「──これ……なに?」
「“ルカ様の魔力と感情波”をもとに設計した、完全新種です!」
「名付けて、《ルカリス》──癒しと希望の花です!」
◇
【魔法植物学会公式発表】
・新種名:ルカリス(Lukaris)
・特性:見るだけでリラックス、香りで安心、触れると幸福感上昇
・開花条件:愛情がそばにあること
・魔法省・教育省・保健省 共同推薦 → 全国に配布開始!
◇
その数日後──
王都の通学路、公園、病院の花壇、役所の玄関……
あちこちで《ルカリス》が咲き始めた。
「朝からルカ様の香り……職場行く元気出た……」
「花見て泣いたの初めて」
「この花、なんか“だいじょうぶだよ”って言ってくれてる気がする」
──全国が、ふんわりと優しさで包まれた。
◇
そんな中、屋敷のバルコニーに花を植えたママが言った。
「ルカ、どう? みんな、あなたのことを想って植えてるのよ」
「……うん。うれしい。
でも、ぼくはそこにいられないから、ちょっとだけさみしいかも」
その夜、僕は空中庭園に咲いた《ルカリス》をひとつ、そっと摘んで枕元に置いた。
「みんなのとこには行けないけど、ぼくのこころは、ちゃんと届いてるといいな」
──この日以降、《ルカリス》は“癒しの国家花”として認定され、
市民が自ら手入れし、花に語りかける文化が芽生えた。
一部の園児はこう言った。
「この花からルカ様の匂いがする……」
「もうこれと結婚していい……?」
パパはその話を聞いてこう呟いた。
「全国が……全部……うちの庭みたいになってきたな……(苦悩)」




