23. 『ルカ様が手づくりクッキーを配ったら、園児たちが次々と泣き崩れて保護者説明会になった』
その日は、ちょっと特別な日だった。
昨日、先生がこう言っていた。
「今週は“ありがとう週間”だから、誰かに感謝を伝えることをしてみましょうね〜」
それを聞いて、僕はひらめいた。
「じゃあ、ぼく、クッキーつくる!」
◇
ママと一緒にキッチンで、
小さな手で粉をまぜまぜ、ミミルを見守り係にして。
魔法で温度管理、雑菌除去、アレルギー確認、味覚最適化。
さらに──
「……“たのしい”って、気持ちも入ってくれたらいいな」
僕は手を合わせて、最後にほんのすこし“気持ちの魔法”を込めた。
すると、ミミルがぽわっと光って──
焼き上がったクッキーは、ほわんと優しい匂いに包まれた。
◇
翌朝。
登園後、僕は小さなかごを持って、園児ひとりひとりに渡していった。
「はい、これ。ありがとうのクッキーだよ」
「う、うわ……ルカ様が……手渡しで……!」
「え、今ぼくに微笑んだ!? えっえっえっ」
そして──昼食後、いよいよ「クッキー実食タイム」開始。
ユリウス「……ひとくち目で、ママの味がした……!」(ぼろぼろ)
レオン「口に入れた瞬間、“おまえは大丈夫”って聞こえた……!」(号泣)
ノア「これ……感情が……再構築されて……る……!」(震)
──園児全員、涙腺崩壊。
あまりの光景に、園の先生が慌てて保護者へ連絡を入れる事態に。
「はい……全員号泣してまして……ええ、クッキーで……」
【その日の保護者説明会 内容】
・配布クッキーの材料はすべて安全(国家検査済)
・問題はなく、むしろ“あまりにも心に効いた”ための反応
・食べた全員が精神安定+幸福度上昇、軽度のトラウマが浄化された子も
園長が最後に言った。
「ルカ様の料理、もはや薬膳……いや、祝福ですねこれは……」
◇
その日の夜、僕はミミルにぽそっと話しかけた。
「みんな、ないてたけど……ちょっとでも、あったかいきもちになってたらいいな」
ミミルはふわっと光り、いつもより長く僕の腕の中にいた。
──この日以降、「ルカ様レシピ本を作ってほしい」署名が国民から4万件を突破する。




