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22. 『ルカ様語録、ついに“朝の読み上げ”として園の正式カリキュラムに組み込まれる』

「──それでは本日の“ルカ様語録”、ユリウスくんお願いします」


「はいっ!!」


園の朝礼。

先生の掛け声に、前に出た金髪園児・ユリウスが手に持った魔導タブレットを掲げる。


「今日の言葉は……」

『ミミルが笑ったから、今日もいい日。』


 


「「「はぁぁぁぁあああ……(尊)」」」


園児たちが揃って胸を押さえ、目頭をおさえ、静かに頷く。


──そしてこう呟くのが、もう日課となっていた。


「……これで、今日も戦える……」

「ルカ様の言葉が、全身に染みわたる……」


 



 


きっかけは数日前の魔法通信社からの連絡だった。


【新刊スピンオフ企画】

書名:『朝のルカ様語録365』

特徴:毎朝1語、心に効く。魔法朗読機能付き。

価格:国家推薦枠で園に無償配布。


 


「ありがたい……でもちょっと、怖くない……?」


僕はミミルを抱きながら、ママに小声で聞いた。


「大丈夫よ。ルカの言葉が“正しさ”じゃなくて“やさしさ”として広まってるから」


「でもさ、朝から僕の言葉を聞いて、みんな一斉に頷いてるの、なんかこう……宗教っぽいよ……?」


「安心して。パパがチェックしてるわ。“信仰じゃなく、愛慕として成立してる”って」


パパの職業:騎士団総隊長+非公式の“ルカ信仰監視官”


 



 


翌週。

国営魔法放送で、こんな番組が始まった。


【毎朝7:00〜】

『ルカ様といっしょ・ことばのおはよう便』

内容:その日の“ルカ語録”を、ルカのボイスでお届けする。


 


《録音されたルカの声》

「きょうも、おきてくれてありがとう。

ミミルとぼく、きみがいるだけでうれしいよ」


 


──全国に、深いため息が流れた。


「今日会社クビになったけど、ルカ様の声で生き返った」

「ルカ様がいる世界に転生できてよかった」

「これもう天上界では?」


“癒し”が、宗教を越えて国家安定機能になろうとしていた。


 



 


その日の夜、僕は空中庭園の星見塔でつぶやいた。


「……だれかの心に、そっと灯をともせたら、うれしいな」


ミミルはふわっと光って、僕の言葉に反応した。


明日の語録には、こう記される。


『泣いたあとに、笑えるなら、それって、いい涙だったってことだよ』


──またひとつ、やさしい朝が生まれていた。


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