表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/59

21. 『ルカ様専用の空中庭園が完成し、パパが“俺の庭より豪華やん……”と沈黙しました』

ある朝のこと。

目覚めた僕の枕元に、一通の封書が置かれていた。


【魔法団・建築局より】

──“ルカ様おひとり専用”空中庭園が完成しました。

本日10時、竣工式をおこないます。

どうか、お時間よろしければ、お越しくださいませ。


 


「……へ?」


僕はまだ寝起きの頭で、ミミルをぎゅっと抱きしめながら、ママに聞いた。


「これって……ぼく、何か頼んだっけ?」


「ううん。魔法団が勝手に“ルカ様の癒しのため”って言って建てちゃったみたい」


「勝手に?」


「ええ。しかも国費全額負担よ」


「……うそでしょ……?」


 



 


午前10時。

僕はお屋敷の中庭から空中庭園へと向かった。


案内された先には、ふわふわと宙に浮かぶ巨大な魔法庭園。


・浮遊ベッドゾーン(完全防音+温度調整+ミミル用サブベッド)

・夜空観察用「星見の塔」(透明ドーム天井+自動星図魔法)

・“絶対にルカ様しか入れない”専用バリア(音声認証+感情波判定)

・庭園中を優しく漂う香り魔法(ルカの好む果実+花のブレンド)


 


「──こ、これ……」


「ルカ様のストレス値を常時モニタリングし、必要な癒し効果を自動展開するよう設計されております!!」


誇らしげに胸を張る魔法団員たち。

一方、後ろで腕を組んだまま沈黙する人物がいた。


そう。パパ(ガルド)である。


 


「……わしの訓練場より、整備が完璧じゃ……」


ボソッとつぶやいて、少し離れた柱の影で膝を抱え込んでいた。


「パパ、落ち込まないで……!これはみんなの気持ちだから……!」


僕は急いで駆け寄り、ミミルごとパパに抱きついた。


パパは驚いた顔のまま、そっと抱き返してくれた。


「……ルカが喜んでるなら、まぁ……ゆるす」


 



 


夜、庭園の「星見の塔」で。

ミミルを膝に乗せ、僕はそっと空を見上げた。


「……ほんとうに、みんな優しいね」


ミミルはふわりと光り、星たちがそれに呼応して瞬いた。


この世界で僕は、

“誰かの特別”にはならない。けど、


“みんなにとっての光”でいられるのなら──

それは、きっと幸せなことなんだ。


 


そっと呟いた言葉が、魔法で記録され、

明日の魔法日めくりカレンダーの言葉になった。


『だれかのものじゃなくていい。

 でも、だれかの理由になれたらうれしい』


 


──空中庭園は、この日から**“ルカ様の心を守る聖域”**として、国の保護対象に指定された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ