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19. 『ルカ様に癒された国民の声が一冊の本になって、ベストセラーになりました』

ある日、屋敷に届いたのは──

木箱にぎっしり詰まった手紙だった。


差出人:王都魔法通信社

件名:【読者投稿「ルカ様へ」封入箱/第1便】


「……これ、全部?」


「はい。現在、毎日約2,000通の手紙が届いておりまして……」


「な、なんで……?」


 



 


きっかけは、あの魔法日めくりカレンダーだった。


そこに添えられたQR魔法コードに、

“あなたの感じたことを教えてね”と軽い募集が載っていたのだが──


・「“大丈夫”って言われて、電車に乗れました」

・「会社辞めようとしてたけど、もう一度がんばろうって思った」

・「誰にも必要とされてないと思ってた。でも、泣いてもいいよって言われて、泣けました」

・「生きてていいんだって、思いました」


──ルカの言葉に“救われた”という声が、爆発的に届いたのだ。


 


魔法通信社は、急遽プロジェクトを立ち上げた。


【書籍化企画】:

『この国の光──ルカ様に癒された人々の記録』

初版:5,000部 → 初日完売 → 緊急増刷中

発行:王都第一魔法出版社

編集:魔法通信社ヒューマン局


 


そして発売日。


朝から本屋に人が並び、

魔法書店のサーバーが一時ダウンし、

TV塔の電波で**“朗読特番”**が放送された。


その日──ルカはただミミルと遊んでいただけだった。


 



 


パパとママが、あらためてルカの前に座った。


「ルカ。今回の本で得た印税と寄付金が、かなりの額になっていて──」

「このお金は、ルカの“好きなこと”に使っていいんだって」


僕は一瞬考えて、こう言った。


「……じゃあ、絵本をつくりたい。

みんなに“こわくない”って伝えられる絵本」


ミミルを撫でながら、僕は続けた。


「おとなも、こどもも、だれかのことをすきって思える世界がいい。

それって、きっと、“だいじょうぶ”って言ってもらえる場所だから」


 



 


こうして、ルカは初めて“自分から与える”本をつくる決意をする。


それは、全員に等しく手を伸ばす、

“総受けの子”から“希望の子”への一歩。


でもきっと、ルカは変わらない。


今日も、ミミルと小さく笑っている。


 


──この日以降、国中の教科書には“ルカ様の言葉”が載るようになった。


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