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18. 『王城から縁談が来たけど、パパが剣を抜いて全面拒否しました』

ある日の昼下がり。

お屋敷に、王城から一通の書状が届いた。


【王命通達】

──王太子レヴィ・フォン・アルクレイン殿下より、

公爵令息ルカ・エインズレイ殿へ、縁談申し入れの旨──


 


「は?」


ママは優雅に紅茶を置き、

パパは剣を抜いた。


「宣戦布告か?」


「いや、まだ戦にはなってないわ。たぶん」


「これは明確な奪還行為だ。うちの子に手を出したらどうなるか、身をもって知らせる必要が──」


「落ち着いて。今からルカに“どうしたいか”を聞くのよ」


「え、問答無用で却下じゃないのか?」


「本人の意志が最優先でしょう? 私たちの子なんだから」


 



 


ということで、僕は呼ばれた。


リビングの大人たち全員がやたら神妙な顔をしていて、

僕はミミルを抱いて小さく首をかしげた。


「……なにかあったの?」


「ルカ。王太子から、およめさんに来てほしいって言われてるの」


「……それって、けっこん?」


「そう。そういう意味」


少しだけ、沈黙が流れた。


僕は、静かにミミルを見た。


「……ぼく、けっこんしないよ」


 


ママはふっと微笑み、パパは剣をゆっくり納めた。


「ですよね!!!」

「はい解決!!!」

「国王陛下には、“却下されました”って伝えときますね!!!」


魔法団から光速で伝令が飛んでいった。


 



 


でも、その日の夜。


王城から、ふたたび文書が届いた。


【再申請】:王太子殿下からの「せめてお友達に」希望

【追加申請】:王族関係者12名より「ルカ様との文通許可」申請

【嘆願書】:王国民代表より「ルカ様の声をCDにしてほしい」


 


……なんでどんどんエスカレートしてるの。


 


「……ぼく、だれのものにもならないって、いったのに」


ミミルの耳にそっと頬をつけて、僕は小さくつぶやいた。


「だって、みんながだいすきだから。

みんながそばにいてくれるだけで、じゅうぶんだから」


ミミルはふわっとあたたかく光った。

まるで「うん、それでいいんだよ」と言ってくれているように。


 


──後日、王城では王太子が食事を3日間拒否し、

国王が「ルカ様は国民すべての光」と公式発言するに至った。


 


そしてこの日以降、国中ではこう呼ばれるようになる。


『ルカ様は、すべての者に等しく微笑む“天上のこども”である』


 


──総受け、ここに極まれり。


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