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17. 『誕生日にプロポーズされすぎて、園のホールがパンクしました』

「──明日は、ルカくんのお誕生日です」


園の先生が、いつもの朝の会でそう告げたとき。

教室に走った緊張感は、ちょっと異常だった。


「ついに……!」「あの“運命の日”が……!」

「準備は万端だ。渡すのは例の指輪だ」「うちは花束だぞ」

「僕は詩!手書きの詩!!!」

「いや!歌を作ってきた!!」


えっ、なにみんな、何をそんなに……


(あっ。これ、まさか……)


 



 


翌日。

園では“お誕生日会”が開かれた。

通常なら、プレゼントを渡しておしまい──のはずが。


「ルカ様、こちら、私からの贈り物です」

「どうか、未来の伴侶としてお迎えください」

「はい!うちもです!こちらは婚約用指輪のレプリカ!」

「うちは式場をすでに予約済です!このままゴールインを!」


──なにそれ!?!?

誕生日じゃなくて、結婚申し込み会になってるよ!?!?


 


先生が、裏で小さくつぶやいた。


「去年の園児が“ルカ様の未来の伴侶になれなかった”と泣いたせいで、今年から“申請解禁”になって……」


いや、その“制度”どう考えてもおかしいでしょ!?

5歳の誕生日で生涯の契約って、誰が考えたの!?!?


 



 


ホールには、用意された壇上とマイク。


「次、ユリウスくん」

「はいッ!!」


金髪の王子系園児が、バラの花束を抱えて現れる。


「ルカ。僕はいつも君を見てる。君の涙も、笑顔も、全部大切にしたい。

だから──これを受け取ってほしい。僕の心の花束を!」


(あ、ちょっと詩的でかっこよかった……)


次、レオン。


「ルカ、お前は俺の全てだ。

何もかも守る。ミミルも、寝顔も、声も。俺の全部を、捧げる」


……重い。でもまっすぐすぎて泣きそう。


次、ノア。


「結婚という制度に縛られるのはおかしいと思う。

でも、俺がルカを好きだという事実には、何の矛盾もない。

……だから、これ。オリジナル魔法で作った“ルカルカ光線”」


(語感はダサいけど、光ってる……すごい……)


 



 


結局、僕の目の前には、

贈り物と告白が137件積み上がった。


(……ミミル、たすけて……)


「みんな、ありがとう……。でも、ぼく──」


僕は、壇上から一歩前に出て、静かに言った。


「ぼくは、だれとも結婚しないよ。

だって、みんなだいすきで、えらべないから」


 


一瞬の静寂。


そして──


「「「それが……また……最高に好き……!!!!」」」


バタバタと倒れる園児たち。


その後、みんなでケーキを食べて、笑って、ミミルもケーキをもらった。

会場は崇拝と平和に包まれていた。


 


──その日以降、園の誕生日会は“式場の確保”が必須になった。

なぜなら、“ルカ様のプロポーズ日”として、国の祝祭にも組み込まれたからである。


 


「……ほんとに、普通に祝われたいだけだったんだけどなぁ……」


ミミルを抱いて、僕はそっとつぶやいた。


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