1.『ちんまい僕と、でっかいパパとママ』
「ルカ、お目覚めか!?」
朝、目を開けた瞬間、視界いっぱいに“筋肉”が飛び込んできた。
「おはよう……パパ」
「うっっ! 天使ボイス……! くうぅぅ……今日も尊い……!」
ガルド。僕の父親。
騎士団総隊長。身長2メートル。ゴリマッチョで、泣き虫で、息子に激甘。
その後ろから、涼しい声が響く。
「ルカ、ミミルは一緒かしら?」
「ん……いるよ」
僕の隣には、銀色のウサギのぬいぐるみ。
自分と同じ色で、ママ(レイ)が魔法で作ってくれた“世界に一つの宝物”。
「ミミルがいないと、ルカ寝れないもん」
「うん……それでいいのよ。ミミルは、あなたの心そのものだもの」
ミミルがいれば、大丈夫。
前の世界で信じられるものが何もなかった僕にとって、
“この世界の愛”を最初にくれたのは──このぬいぐるみだった。
「ルカ様〜! お着替えのお時間です!」
「ルカちゃんおはようございますぅぅぅううっ!!」
「ちょ……可愛い……今日も尊すぎて吐きそう……!」
屋敷の使用人たちが毎朝失神しそうになってるけど……まぁ、それは、いいや。
僕は今日も、ミミルを抱いて。
新しい人生を、もう一度、ゆっくり歩いていく。
あ。ちなみに僕 今5歳だからね?