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10. 『王宮お披露目会。僕が一歩出ただけで騎士団が全員土下座しました』

「今日は王宮での“跡取りお披露目式”です。緊張しないでね、ルカ」


レイ(ママ)が微笑みながら、僕の髪を整えてくれた。

隣ではガルド(パパ)がずっとソワソワしている。


「騎士団全員には、正装で礼儀も完璧にって通達したからな!!ルカに失礼があってはならん!!」


「……そんなに緊張する日なんだね」


「そうよ。だって、今日はルカが“正式に世界へ存在を示す日”だから」


僕は静かに、ミミルを抱き直した。

きっと大丈夫。ミミルがいるから、落ち着いて歩ける。


 



 


──王宮・大広間。

そこに集まっていたのは、上級貴族・高官・騎士団・魔法団・王族関係者。


ざわ……と広がる声の中、

「それでは、第一公爵家の御子息──ルカ・エインズレイ様のご入場です」と響いた。


扉が開く。僕は一歩、足を踏み出した。


その瞬間だった。


 


「──ッ!!」

「目が、目が……! ま、眩しっ……!」

「く、崇高……天使か……!?!?」


ギィィンッ!!(膝をつく音)

ザザッ!!(全員の騎士団、土下座)


「……は?」


僕、歩いただけだよ……?


 


目の前にいた皇太子(10歳)が震えながら立ち上がる。


「本物だ……ッ! 本物の“あれ”だ……ッ!! か、可愛いを超えてる……!!」


「お、落ち着いてください皇太子殿下……!」「過呼吸になっておられます!!」


大人たちも半泣き状態。

魔法団長クラスが光の結界を張って「直視不可」とか言い出してる。


 


(……あの……ミミルを抱えてるだけなんですけど……)


僕は少しだけ前に出て、お辞儀した。


「……本日は、お時間をいただきありがとうございます。ルカ・エインズレイと申します」


瞬間──


「「「うおおおおお!!!」」」


騎士団全員、再度土下座。

魔法団は泣いてる。皇太子は“尊死”しかけてて椅子から転げ落ちた。


 


「……やっぱり、ルカが一番格上だね」

隣でささやいたユリウスは、誇らしげな顔をしていた。


「騎士団全員、今日から俺の部下って言ってもいいよ」

レオンは既に“隣で控える正妻ポジ”みたいな立ち位置で仁王立ち。


「ルカが笑ったら、たぶん国傾く♡」

ノアは目を潤ませながら手を振ってくれていた。


 


(うん……もう、いっそ慣れよう)


前世では、誰にも見てもらえなかった。

愛されたくて、苦しくて、でも何も変えられなかった。


でも今の僕は、“ただ立っているだけ”で──

愛される。大切にされる。


(ありがとう、ミミル……。ぼく、ちゃんと見られてる)


ぬいぐるみの耳をそっと撫でながら、

僕は、ゆっくりと真ん中まで歩いていった。


 


今日という日を、世界が忘れられなくなると知らずに。


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