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恋の終活始めました!  作者: 眞壁翠
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スピンオフ-田沼千鶴の恋-

 里山楓。

 昔、私が好きだった人。

 小学5年生の時に塾で出会って、ポニーテールと切れ長の目がカッコいいなと思って話しかけて、友達になったらいつの間にか『好き』になっていた。だから志望校が同じと聞いた時は嬉しかったし、楓も私も合格して一緒の学校に通えるのとわかった6年生の2月のある日は部屋の中で叫んでしまった。

 入学式の日は同じ制服を着ている楓がカッコよくて顔を赤らめてしまって、どうしたのって心配されたのを覚えている。

 私がテニス部に入ろうかなって言った時に、千鶴が入るなら私も入るって言ってくれたの嬉しかったなぁ。

先輩の圧は強かったし練習もきつかったけど楓がいたから耐えられたし頑張れた。

『好き』って勝手だなと思う。

好きだから嬉しい、好きだから頑張れる、好きだから耐えられた、『好き』を誰の許可もなく勝手に理由にしている。

 中学2年生の私はその『好き』を楓本人に伝えた。

楓はありがとう、と言ってくれた。夢かと思った。でも3日後には夢から覚めていた。楓は私の『好き』をいわゆる友情のものだと思っていたらしく、そこからお互い話なさなくなってしまった。教室でも部活でも互いに避けるようになった。私はテニス部を辞めた。

 あれから2年が経ったある日、当時の私と同じような目をした子を見た。

 久遠春。彼女はきっと香坂日和のことが『好き』なのだろう。苦しいだろう。何か助けになることはできないだろうか。

私は思い切って合宿の日に聞いた。

「春ってさ、日和のこと好きなの?」

深夜だったけど春が目を見開いて怯えているような驚き方をしているのがなんとなくわかった。

答えはイエスだった。告白はしないのだという。それが良いとも悪いとも私には言えない。だって私は告白した先のことしか知らないから。だから私には結局、春を応援することしかできない。少しでも事態が良い方向に進むように。


 花火大会でもやはり思い出してしまう。未練たらしい自分を呪いたくなる。そんなことを思っていると驚きの事が耳に入ってきた。

「楓も辞めちゃったよね。」

自分の耳を疑う。辞めた?あんなに上手かったのに?私も辞めたのに?どうしてだろう。

それからずっと楓のことで頭がいっぱいだった。






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