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どんとこい 東村山!  作者: Kくぼ
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41話 東村山の秘密

 もう時間がなかった。とりあえず今できているものを組織へ提出し量産化に入った。各国の核ミサイル発射基地の地下に組織が設置した発射スイッチ無効化装置の近くに置くためだ。

 なぜ東村山だけ成功するのか?その謎を解くために祥太郎は新宿にどんとこい東村山!の地下室へ向かった。組織が用意したスマホを持って。そのスマホにはAIがインストールされていて新宿にある本体のAIとリンクしている。


「おばちゃん、地下室借りますね」


「久し振りだね。組織が地下室をシェルターにしてくれたよ。なんか最近物騒だからいざとなったらあたしも地下へ逃げるよ」


「すぐには核は撃たないでしょうけど万が一が千が一くらいになってますからね。地下には水も食料も半年分はありますから地下まで逃げれれば生き延びれますよ」


 祥太郎はそう言ってシェルターに改造された地下室へ入っていった。祥太郎は組織に頼んで例の事件があった、穴が発生した近くまで再度穴を掘ってもらった。そこにテスト機を設置して実験をしている。


「なあAI、やっぱりここだと上手くいく。何が違うんだ?」


「ここには北条徳子から出る何かが残っています。残渣としてですが。俗にいうオーラのような」


「オーラ?徳子ちゃんが?ただの女子高生だったよあの子は」


「祥太郎。そもそも北条徳子が道路の上を歩いただけで装置が勝手に起動した事を疑問に思わないのですか?北条徳子は異常です」


 そういえばそうだ。なんでそこに疑問を持たなかったのか?徳子ちゃんはちょっとおしゃべりの明るい女の子、趣味が変わっててあんまり友達いなかったけど。でもなんか不思議な魅力を持つ子だった。でもAIが異常って言うほど変ではなかった。


「ストラップの中の物のスイッチが入りっぱなしだったとか?それで近くに来たので電波が飛んで作動した」


「それは考えられます。ただ、スイッチの電源がバッテリーだったとしてそれほど持つのかがふ

 疑問です。山元氏が電源を入れた状態でストラップに入れたとしたらそれはいつなのか?そこはデータ不足です。それと、装置が起動して発生するのは電磁波です。核ミサイル発射装置を狂わせる電磁波、その電磁波というのは我々の実験では目に見えない、地震や風を起こすような力を持ってはいません。地震を起こし地下から地面を突き破る、その謎のエネルギーはこの北条徳子のオーラのような物の残渣にヒントはあると思われます」


 オーラのような物ねえ。それで地震が起きて未来へとばされたんじゃあ、何の為のオーラなのか?普通オーラって身体から滲み出ている雰囲気みたいなものだよね。なんか偉い人が偉そうに見えるとか、芸能人が光って見えるとか。徳子ちゃんは………、


「明るくてうるさい!」


「祥太郎、どうしました?」


「ああ、ごめん。徳子ちゃんのオーラって何のオーラか考えてたんだ。結局まともなのが出てこなくて」


「北条徳子がなにかを引き起こしたのです。北条徳子が持つ何かが」


「その何かを調べるしかなさそうだ。ところでここにいても起動スイッチの完成度が95%にしかならない理由は、やっぱり材質なのか?」


「はい、電波を発生するのに使っているこの特殊合金の成分比率に問題があると思われます。過去の開発データから最善と思われる物を選び使用していますが合致はしていません」


「最新鋭のAIが何億通りも組み合わせてベストを選んでるんだよな?それでダメならもう無理じゃね?試しに何か混ぜてみるとか?」


「少しお待ちください。わかりました。祥太郎、今のがヒントになりました。至急組織にこの材質を使った合金でキーを作るように指示してください」


「これって?」


「そうです。不純物です。偶然混ざり込んだコンタミが特殊な相乗効果を出したと推察されます」


 本当かよ、じゃあ再現できないじゃん。ただ、AIは不純物として最適な材料、添加量をビッグデータから割り出した。これも今までの祥太郎の実験データがあったからだとAIは言った。


「それに北条徳子の持つ何か、それもヒントになりました」




 祥太郎は真弓にデータを転送して直ぐに手配するよう依頼した。これで100%核戦争を止められる。あとは、徳子ちゃんの謎を解くだけだ。AIが言うように今の技術では徳子ちゃんを元の時間軸に戻す事は不可能だ。だが、未来の人達ならきっと。


 2030年になった。組織は新しい合金で作った核ミサイル発射装置を止めるキーを各国の軍事基地に配備中だ。数が多いのと、国によっては組織の力が弱いところもあって難儀している。T国を攻めているC国が疲弊してきており、C国指導者のポーミンは追い詰められていた。組織はまず暴走するのはC国だろうとC国への対策を優先し、それは完了している。


 新しい合金で作った起動スイッチは100%の性能を示した。これで完璧のはずだった。


 夏になり国連が戦争終結に向けての和平交渉に入った。今まではお互いに主張を譲らず、交渉ができなかったのだが、C国のポーミンは交渉に応じると報道された。


「祥太郎が頑張って作ったけど、使われなかったね」


「真弓さん、使われない方がいいんだよ。良かったよ本当に」


 その時、携帯のアラートが鳴った。テレビからも警報が出ている。

『日本へ向かってミサイルが発射されました。国民の皆さんは外へ出ないようにしてください』


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