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どんとこい 東村山!  作者: Kくぼ
32/47

32話 ストラップ

 久し振りに北部線に乗って東村山駅に着きました。途中小平で降りて徳子ちゃん家に寄ってみたかったのですがリスクは避けないといけないなと断念します。あれから4年経っています。もう道路に穴が空いた事件の事なんて世の中からは忘れられているはずですが、北条家にとってはそうではないでしょう。もしご両親にでも見つかったら大変な事になりそうです。祥太郎は徳子に誘われて北条家に遊びに行った事があるのです。徳子母は、娘が初めて男を連れてきたと大騒ぎでしたがそういう関係ではないと知ると残念そうに、


「でも男と女は何があってもおかしくないのよ。いつでも好きにしていいからね」


 と祥太郎をけしかけてきたくらい祥太郎の事を気に入っていました。徳子は


「いつでもどうぞ、ウッフン!」


 とかふざけてましたがしらけている祥太郎を見て徳子母は、ダメだこりゃって顔をしていたのが印象的でした。徳子に続いて連絡が取れなくなった祥太郎に対してどう思っているのか?考えたくはありませんし、見つかったら大騒ぎになりそうです。


 東村山駅で降りて東口へ。穴がどうなったか興味はありますがそこにも近づかない方が無難でしょう。ロータリーを抜けて東村山高校の方へ向かって歩いて行くと左手に目的地が見えました。そう、どんとこい東村山!です。




「ごめんください」


「いらっしゃい、あらあんた。あの時の学生さんだよね?」


「覚えていたのですね。今日は買い物でなく地下室に用があってきました。入りますね」


「そう。真弓さんから話は聞いてたけど、あんたがねえ。あの子の手がかりとかあったのかい?」


「いいえ。それを探しに来たのです。ここに来れば何かわかると思って。もう刑事さんもうろちょろしてないと工作員の人が言ってたので、思い切ってきちゃいました」


「あんた、組織に入ったのってあの子のためだけ?」


「そうですよ。それが無ければ入りません。利用しているというと聞こえがいいけど、学費とかも出して貰ってるから助かってるんです。でも、徳子ちゃんが見つかればもう用は無くなります」


「組織が徳子ちゃんを探している理由については?」


「真弓さんが徳子ちゃんが何かを持っている、それを探していると言っていました。それ以上のことはわかりません」


「それが何か知ってるの?」


「知りません。それは教えてもらえてないので」


 そうだ。大事な事を見落としていた。一体何を持ってたんだろう?


「知りたい?」


 山元さんが祥太郎の顔色を伺うようにして思いがけない事を言ってきました。祥太郎は、えっと思いつつも答えます。


「ご存知なのですか!教えて下さい」


 山元さんは、祥太郎を気の毒に思ったのか少し考えてから教えてくれました。


「それはね、このどんとこい東村山!の商品全品購入制覇の記念品だよ。といっても大したものじゃない、ただのストラップだよ。あの子のバックについてたろう?猫のストラップ」


 そういえば誕生日に祥太郎が送ったストラップの横に猫のストラップが付いていた事を思い出しました。あの日祥太郎が誰に貰ったの?って聞いたら


「ほう、ヤキモチかいな祥太郎君。こう見えても徳子ちゃんは全くモテない、って何言わせんのさ!景品よ景品」


 って言ってた。あれはいつだったか?でもなんでそんな物を組織が探してるんだ?


「山元さん。確かにあの子は猫のストラップをバックに付けてました。ものすごく気に入ってましたよ。しかしこのお店の全品制覇ってあの食いしん坊め。まさかそんな事をするとは。で、なんでそのストラップを組織が探しているのですか?中に秘密の何かが隠されているとか?」


「おばちゃんでいいよ、あたしの名前なんて知ってる人はほとんどいないんだしね。そこまではわからないよ。ただ組織も想定外だったらしいよ。後であれが店から無くなった事に気が付いて大騒ぎになってたしね」


「それっていつの事なのですか?」


「どっちがだい?騒いだのは例の穴の事件の翌日だよ」


 てことは、あの朝、組織の連中が穴の周りにいた後なのかな?


「それで徳子ちゃんが全品制覇してストラップゲットしたのって?」


「その徳子ちゃんが居なくなった日だよ」


 そうだった。あの日かき氷を食べている時にストラップに気付いたのだ。かき氷を食べている徳子ちゃんがなんか一人漫才やっててうるさいと思って目を向けた時に気付いたのだ。


 猫のストラップ、大きさは確か5cm位に見えた。中に何か入っていたとしても大した大きさではない。マイクロチップか何かかな?でもなんでそんな物がストラップの中に?


「勝手な想像ですけど、このお店は品揃いが無茶苦茶豊富です、全品制覇なんて夢のまた夢。商品として掲示はしていたものの取る人は出てこないはずだった。なので組織が秘密のマイクロチップをそのストラップに隠した。それを徳子ちゃんがゲットしてしまった」


 祥太郎はドヤ顔でおばちゃんを見ながら話します、ドヤッ?


「不正解!」


 は、恥ずかしい〜。

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