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どんとこい 東村山!  作者: Kくぼ
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21話 脱走者

 ここは未来の東村山。徳子は市内を探索していてどんとこい東村山!を見つけました。そして腐った床の下に謎の入り口らしきものを見つけたところです。


「明らかに怪しい入り口だわさ。あのおばちゃんがやってた駄菓子屋に地下室ってなんなのそれ?何がどうなってるのよ」


 徳子にとってはこのどんとこい東村山!は憩いの場でもありますが、ただの駄菓子屋です。入り口は車みたいな丸いハンドルのような物を回して開ける仕組みのようです。


「ウォーリャー!」


 気合いを入れて回しますがびくともしません。きっと何千年も誰もあけていないのでしょう。


「困っただわさ。まるでロールプレイングゲームで序盤で宝箱があったのに鍵がなくて開けられないみたいなやつ。後半でうっかり忘れててあっ!てなるやつ」


 徳子はここに何か大きな秘密が隠されているという予感がしています。何とかしてここを開けられないものか、周りを見渡しますが道具に使えそうなものはありません。仕方なく市役所へ戻ろうと歩き出します。すると前方に巨人が見えました。


「す、鈴木さーーん!」


 前を歩いてた巨人、後ろ姿は鈴木さんだと思ったのですが呼んでも立ち止まってくれません。冷てえなと思いましたが考えたら巨人イコール鈴木さんではないという事に気が付き、


「すいません、そこの人。手伝っていただけませんか?」


 と近づいて行って声をかけました。知らない男性に声をかけてはいけないと学校で習わなかったのでしょうか?徳子は今まで出会った人がいい人?ばかりだったので警戒心が薄れています。その巨人は槍を持っていました。立ち止まり驚いた顔をしています。


「話する魔獣?ここは町だから魔獣は出ない筈だ。この知らない感覚は何だ。身体の奥底から涌き出でる力は一体?」


「ええと、管理区域A3の方ですか?私は北条徳子と言います」


「な、名前持ち!こんなに早く出会えるとは」


 その巨人は徳子を掴み抱き上げました。


「キャー、ど、どこ触ってんのよ」


 巨人は徳子のあちこちを触っています。


「柔らかい。もしかして女か?北条徳子さんは女なのか?」


「そうよ、女よ。ピッチピチの女子高生よ、降ろしてよ、早く!」


 巨人は徳子を降ろして離します。徳子は距離を取ってから、


「あなたは何なのですか?触った分働いてください、ちょっとこっちにきて手伝ってください」


未来人に無茶な事をいう徳子。


「どこからきた?私の中の何かが北条徳子さんと話をしろと言っている気がする。私はここのところ変なんだ。だから脱走したんだ」


 えっ脱走者なの?何で脱走するのかわからないって言ってたあの脱走者?徳子はこれはあまり関わらない方がいいかもと思い、


「ごめんなさい。いいです、もうどっか逃げちゃってください」


「私はあなたに会うために脱走したのかもしれない。一緒に」


 そこまで話しした時に徳子と脱走者が4人の巨人に囲まれました。門番の太田さんもいます。太田さんは顔を怪我していました。その中で一番偉そうな感じの人が脱走者に話しかけます。それと同時に太田さんが徳子の前に立ちました。


「山田さん。脱走は死刑です。覚悟してください」


「もう追いつかれてしまいましたか。ここにいる北条徳子さんは女です。あの幻の女なのです。皆さんは知っていましたか?」


 巨人達に動揺が見られました。その隙に山田さんと呼ばれた脱走者が走り出します。それを慌てて3人の巨人が追いかけていきました。門番の太田さんは残っています。


「太田さんは行かなくていいのですか?」


「北条様をお護りします。申し訳ありません。お名前持ちのお方を危険な目に合わせてしまいました。町の中は魔獣も出ないので安心していたのですが、まさかこのタイミングで脱走者が出るなんて」


「脱走する人がいると話には聞きましたが、頻繁に脱走者が出るのですか?」


「そうですね、この多摩地区合計で100年に一人出るくらいです。脱走は遺伝子の異常と言われていて突然起きるのです。さっきの山田さんも昨日までは普通でした」


「太田さん、顔が腫れてますよ」


「山田さんにやられました。門番失格です」


 多摩地区、確かに東村山は多摩地区だ。やっぱり地球の日本の東京の多摩地区なんだな、ここは。どんとこい必然村山があるくらいだし。あ、そうだ。


「太田さん。お願いがあるのですが」




 徳子は太田さんをどんとこい東村山に連れていこうと歩き始めます。目的は当然あの入り口です。ところが、


「北条様は本当に女なのですか?」


「はい。性別は女です。ルンルンピチピチの女子高生ですよ」


 徳子は制服のスカートをヒラヒラさせてくるりと回ってみせます。でも太田さんは目がないので見えてません。この世界にはチラリズムという概念が無いのです。


「すごいです。私も触ってもよろしいですか?」


「はい?ダメです。男子は女子に触れてはダメなのです。学校で習いませんでしたか?」


「学校とは何でしょうか?我々は生まれた後、10年間の教育を受けます。その教育の中に幻の女というのがあり、触ると良い感触でいい気持ちになると言われているのです」


「なんだい、その教育!」


 徳子は頭が痛くなってきました。これも祥太郎とかいうAI の教えなのか?だとしたら変態です。きっと童貞のクソ野郎です。


「ですが、女というものがどこにも存在してなく本当に幻だったのです」


「それでさっきあんなに動揺してたのかい。わかっただわさ、特別に手だけ触らせて、いや違う。あたいから触る、それでいい?」


 手伝ってもらうんだからそのくらいはサービスしてもいいっしょ。












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