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どんとこい 東村山!  作者: Kくぼ
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19話 美女と祥太郎

 時は2022年に戻ります。神宮寺祥太郎は美人でスタイルのいいお姉さん、怪しい怪しいアジア系外国人の仲間と思われる女性を尾行していました。そのお姉さんは駄菓子屋へ入って行きました。祥太郎はその駄菓子屋が、以前徳子が話していた駄菓子屋かもしれないと思い出します。店名は、どんとこい東村山。なかなかセンスのいい名前です。


 祥太郎は外からお店の様子を伺います。買い物に来ている生徒が2人、東村山高校生です。店の中にお姉さんの姿はありません。


「こんにちは〜」


 ここは普通のお客を装うべきだと買い物に来た学生、いや浪人生のフリじゃないそのものだけど、普通に買い物に来た程でお店に入ります。店の中では学生がイカを買うか肉まんを買うかで悩んでいます。


 店の品揃えはお見事で、一品一品の数は少ないものの多種多様の品物があり、これなら毎日違う物を食べて全品制覇しようなどと思ったら相当な日数がかかりそうです。そのチャレンジを徳子がこっそり行なっていたのですが、その事を祥太郎は知りません。


 学生が肉まんを買いました。店を出て行ってしまい店の中にはおばちゃんと祥太郎だけになってしまいました。このおばちゃんってあの徳子ちゃんがよく話してたおばちゃんかな?


「すいません。僕も肉まんをください」


「あいよ、80円」


 安!学生相手だからか超良心的価格です。祥太郎は財布から100円を出してお釣りをもらいながら、思い切って聞いてみました。


「あの、北条徳子ちゃんてご存知ないですか?」


「徳子ちゃんてあの面白い子の事だね。毎日来てたけどここんとこ来ないね」


「実は行方不明なんです、徳子ちゃん」


「そりゃ大変だ。警察には届けたのかい?」


「僕ではないですが届けは出ています。でも手掛かりすらなくて。で、さっきこのお店に入っていった美人のお姉さんの話が聞きたくて来たんです」


「そんな人はいないよ。ここはあたし一人でやってるんだ」


「でもさっきこのお店に確かに入っていったのをみたんですが」


「そうは言ってもねえ。なんなら奥を見てみるかい?行方不明と関わりがあるなんて思われたくないし、お兄さんが必死そうだから見せてあげるよ。好きなだけ探すといい」


 おばちゃんはそういうと、店の奥に通してくれた。おばちゃんは店があるからと奥には入って来なかった。本当に自由に探せという意味のようです。そう言われるとなんか遠慮したくなりますが、祥太郎も必死です。襖は全部開けて、トイレもお風呂も見えるところは全部見ました。家に裏口はありません。出入りはお店からしか出来ないようです。


「そんな馬鹿な、どこへ消えたんだ?」


 結局お姉さんを見つける事が出来ず、おばちゃんに謝って肉まんをあと2個買って帰る祥太郎でした。





 その夜、駄菓子屋どんとこい東村山の中ではおばちゃんが美人のお姉さんと話をしていました。


「お前さん、後をつけられていたよ。スパイってのも大した事ないんだね」


「私の顔が割れていたとは思っていなかった。林は死んだし秘密を知る他の3人は本国へ帰った。どんな男だった?」


 おばちゃんは祥太郎の人相と言っていた話をお姉さんへ伝えた。


「穴を見ていたあの男ね。消えた少女の男かしら?」


「どうするんだい。もう借りは返したよ」


「あなたのご主人の罪はこんな事では消せない。この家はまだ使わせてもらう」


 おばちゃんはため息を大きくついてから、諦めたように


「好きにしなよ。もうあたしも長くはないだろうし。それより徳子ちゃんはどこへ行ったんだい?あんたらが攫ったのかい?」


「わからない。何が起きたのか、それを調べるためにあの3人は本国へ帰った。その徳子だったかが巻き込まれたのならもうこの世にはいない」


「いい子だったんだけどねえ」


「私達もあの現場にはいなかった。なぜか装置があの日起動した。わかっているのはそれだけだ」


 そう言うと、お姉さんは地下室へ戻っていった。





 翌日、朝起きたら昨夜の晩飯が肉まんだったせいなのか、祥太郎は胃がもたれてる気がしました。たまには気分を変えて朝ごはんをパンにしてみようかと思い、早速着替えます。というのも以前徳子と朝食はパンかご飯で言い争いをしたことがあり、徳子はパン派で全く譲らなかった事を思い出したのです。こんな時くらいパンにするかとコンビニへ行こうと玄関の扉を開けました。そしたら目の前に誰かが立っていて、えっと思ったら口にハンカチを当てられます。


「これってドラマによくあるやつ!」


そんな事を思いながらこれってやばいやつかも、と考える間もなく意識が遠くなっていきました。




「こ、ここはどこだ?」


 目覚めた祥太郎は、自分が縛られている事に気付きました。どうやら地下室にような場所のベットに縛り付けられているようだ。頭が痛くて少しクラクラする。寝ててこれだと起き上がるのは厳しそうだ。


「確か、朝飯を買いに行こうとして、それで………………、どうしたっけ?」


「私に会った。それで連れてきた。話聞かせろ!」


 声をかけてきたのは探していたお姉さんだった。


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