13話 警察だ
突然やって来たのは警察の人でした。2人で行動するって何かで見たけど本当なのね。
「神宮寺祥太郎さんですね。北条徳子さんを知っていますか?」
「はい。友人です」
「北条徳子さんに最後に会ったのはいつですか?」
「3日前です。この部屋に遊びに来ていました」
「この部屋に!そうですか、その後連絡はありましたか?」
「ありません。メールをしましたが返事は来てません」
「北条徳子さんが行方不明になっています。何か心当たりはありませんか?」
刑事さん?なのかな、僕を疑ってる?なんにも悪い事してないし、逆に徳子ちゃんの情報取れるかな?失うもののない浪人生は無敵だぜ!
「先程、連絡が取れないので心配になって学校の側へ行ったら生徒が徳子ちゃんの事を話してました。行方不明だっていうのですが何があったのですか?」
「あなたと徳子さんの関係は?」
「友人です」
「恋人とかではないのですか?」
「違います」
少し沈黙の時間が………。
「部屋を見せてもらっていいですか?」
祥太郎はやはり自分が疑われてるのかと改めて感じました。ならば疑いを晴らさねばです。部屋の中に入れて全部見てもらいます。何も出てきませんし、監禁もしてません。そもそもそんなに部屋広くないし。隅から隅まで見せたその後で逆襲します。
「もしかしたらなのですが、先日道路に穴が空く事件がありましたよね?」
「それが何か?」
なんか急に強気になった祥太郎に何こいつと思いながらも何も出てこなかったので、ちょっと刑事さんも引き気味です。
「たまにコンビニでお会いするおじさんが話していたのですが、穴ができる前に、あの場所だけ地震が起きて女の子がクルクル回っていたそうなんです。そして女の子が消えたら地面に穴が空いていたと言ってました。その女の子が徳子ちゃんじゃないでしょうか?」
「あの道路か。不思議な穴だった。だけど女の子が消えたなんて初めて聞いたぞ、お前知ってるか?」
刑事さんは聞かれたくない事を聞かれたような顔をして若い方の刑事さんに話を振ります。
「いえ、初耳です」
本当かよ?
「おかしいですね。あのおじさんは警察に話ししたけど信じてもらえなかったと言ってました。信じなくて当然ですけど、でもあの穴は異常でした。あの穴については何かわかりましたか?」
「あれは、すまん。捜査上の事は言えないんだ」
ふうん、そうなのか。何かあったけどしらばっくれてるって事か。
「そうですよね、すいません。よかったら、そのおじさんの家に行きませんか?もしかしたら他にも何か知ってるかもですし」
刑事さん?は刑事さん同士で顔で合図していたみたい。容疑者からこんな事言われたら変に思うよね。でも僕が徳子ちゃんになんかするわけないじゃん、されるならわかるけど。それにあの穴には刑事さんも興味があるみたい。
翔太郎は刑事さんを連れてコンビニへ向かいました。そして途中で右折し例の道路穴ぼこ事件現場に着いた。穴の周りには虎模様のテープで中に入るなよサインがされている。デインジャーテープなのかな?なんで虎模様なのかは興味はないけど虎が危険だからなのかな?って興味あるじゃん。そんな事はともかく、おじさんがあれが家だといっていた二階建ての一軒家に向かって歩いて行くと、どこかで見たアジア系外国人がおじさんの家から出てきました。
「あ、あの外国人みたいな人。あの日も現場にいましたよ」
祥太郎の声に若い方の刑事さんがダッシュします。アジア系外国人もダッシュで逃げます。若い刑事さんが後を追いかけます。なにこれ?アジア系外国人の美人さんはいませんでした。残念、と思っているとしばらくして刑事さんが戻ってきました。
「すいません。取り逃がしました。署には連絡しましたのでいずれ捕まるでしょう。ところでさっきの外国人らしき人はこの家から出てきたのですか?」
「僕にはそう見えました。おじさんがここが家だと言っていた、そこからアジア系外国人?どう思います、もう1人の刑事さん?」
「俺は佐久間と言う。若い方は佐々木だ。名字が2人とも三文字なのでサモジなんて呼ばれている。それはともかく中に入ってみる。君はもしもの事があるからここで待機していてくれ。おい、佐々木、行くぞ」
「了解!」
待っていると佐々木さんが出てきて電話をかけ始めました。
「佐々木です。すいません、鑑識と応援をお願いします。人が殺されています。犯人らしきアジア系外国人は逃走中、身長170cm前後、黒いシャツにジーンズで痩せ型です。先程駅前商店街で見失いました。緊急配備願います」
多分聞いてはいけない事が聞こえてしまった。想像するとあのおじさんが何かを見て、それが原因であのアジア系外国人に殺された。考えすぎか?何かって徳子ちゃんだとしたら、彼女は一体今どこに?