表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/154

94 アジトでの戦闘 前

まずノアが皆に下がるように指示をした。

イザベラとジーンはいつでも中に入れるよう他の者たちから遠ざかる。

迷ったが正面に注目を集め、裏手から忍び込むことにした。


ノアが詠唱すると鳳凰のような美しい鳥が現れた。


「さあ、掻き回してやれ」


楽しげにノアが囁くと、鳳凰が答えるようにピイと高く鳴き見張りの男たちの元へと飛んでゆく。

見張りたちは突然現れたモンスターにぎょっと慄き、慌てて戦闘体制に入った。

男たちの慌てっぷりに家の中からも何人か別の男たちが姿を現す。

一体中には何人いるのだろうか。

イザベラがじっと成り行きを見ていると、ジーンに腕を引かれた。


「行こう、イザベラ」

「ええ」


ジーンに誘導され、家の裏手まで回る。

裏手には扉こそないものの大きな窓があった。これなら中に入っていけそうだ。

窓の両側から家の中をこっそり見ると、中には5人の男たちがいた。

中を確認してからジーンに目を向けると、ジーンが頷く。彼らで間違いないようだ。

ネックレスもあるのだろうかと再び家の中を見ると、テーブルの上に無造作に置かれていることに気づいて目を見張った。

さすがにここにあるのは本物だろう。どくんと高揚しイザベラの胸が鳴る。

すぐにでも入るべきか、しばらく様子を伺うべきか悩んでいると、表の声がだんだんと騒がしくなってきた。

どうやら戦闘に突入したようだ。

しかしアジトから少し声が遠ざかる。見張りを遠ざけてくれたのだろうか。

中の5人も外に出てくれればよかったのだが、あいにく彼らが動く様子はなかった。

奇襲にもそれなりに慣れているようだ。これは手強いかもしれない。


イザベラが再度ジーンに目を向けると、今まさにジーンが窓を蹴り破って中へ突入する姿が飛び込んできた。


「えっ!?」


イザベラが驚き叫ぶのと、ジーンが窓を蹴り破る音が鳴り響くのはほぼ同時であった。

中にいた男たちもさすがに驚いたように呆然と侵入者を見ている。

一気に全員の注目を浴びてしまい、イザベラもそのまま隠れているわけにもいかずジーンの後から中に入った。


「お前は…!一体何しにきた!外のやつらもお前の仲間か…!」


ジーンを一目見て正体が分かったのか、中の男はかっと激昂したようにジーンに掴みかかろうとした。

しかしジーンはそれをするりと抜けて、男の背に蹴りを入れる。

少年のような風貌ではあるが、それなりに戦闘能力は高いようだとイザベラは冷静に思いながらサポートすべく水魔法を放った。

無防備になったジーンに襲い掛かろうとしていた別の男がその魔法を直に喰らい吹っ飛んでいく。


「ちっ、なんだその女は!」


イザベラのことまでは認知していなかったようで、忌々しげに舌打ちをした男が目でサインを送り合う。

二人がジーンの方へ、一人はイザベラの方へ、残った一人がネックレスの方へと向かった。

なかなかの統率力だ。この中のボスはジーンの方へと行ってしまった。

とにかく倒せばいいのだ。残すところあと4人。


イザベラの口角が不敵に持ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ