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85 盗人の住処?

イザベラが気まずさに耐え切れず口数が減ってきた頃、ふわりと鳳凰がノアの元へと舞い降りた。

ノアは片手を差し出して鳳凰をその指に止める。そして側からは分からぬものの何かしらの手段で意思疎通を行ない、満足げに頷いた。


「うん、そう。ありがとう。ご苦労だったね」


そして鳳凰を労うと鳳凰は嬉しそうにひらひらと舞ってからその姿を消す。イザベラたちはノアの言葉を待つべく、彼に視線を注いだ。


「イザベラ、君のネックレスが見つかったよ。これでネックレスが君のものだということも証明されたね」


何気なく発された言葉にイザベラははっと目を見張った。確かに今までイザベラはネックレスが自分のものだと主張していたが、実際それを目にしていたリアムやシャーロットはともかく、ノアは無条件に信じてくれていたのだ。

イザベラたちがノアを心から信頼出来ないのと同様に、彼だってイザベラたちを信頼するにはまだ情報が少なすぎるだろう。だが一つ事実が証明されたことで、少しくらい信頼度が上がったようだ。

相変わらず彼の態度は飄々としていてよく分からないが、イザベラは安堵を覚えた。


「良かったわ。探してくれてありがとう」

「まだ取り返したわけじゃないんだし、礼には及ばないよ。じゃあ早速向かおうか」

「一体どこにあったの?やっぱりここ?」

「そうだね、そう遠くはないみたいだ」

「……そう」


やはりあの少年はネックレスを売るのに失敗していたようだ。どうすることもできず一旦持ち帰ることにしたのだろう。

探知したばかりの場所まで4人で向かうと、一つの家…と呼んでいいのかも分からないほど簡易な造りの家の前で足を止めた。

家の中から人の話し声が聞こえる。


「お兄ちゃん、大丈夫かな…」

「大丈夫だよ、兄ちゃんはすごいんだから!」

「おなかすいた…」

「我慢しろ!」


(子供たちの話し声…?)


イザベラは中に入ろうとしていた手を思わず止めた。大人の気配はない。…が、それにしても声が幼い。イザベラのネックレスを盗んだ少年はもう少し大人だったように思えたのだが。

多分年齢にして、16〜18くらい。だが今聞こえてくる声はどう考えても10歳未満くらいだろう。

本当にこの家なのだろうか。

不用意に突撃することで、子供たちを傷つけることにならないだろうか。

様々な考えが瞬時に頭をよぎり、イザベラの顔に躊躇いの色が浮かぶ。

するとイザベラの後に続いていた3人から疑問の声を向けられた。


「どうかしたんですか?イザベラさん」

「ええと、その…本当にここで合ってる?」

「何を今更…退け、俺が行く」

「ま、待って…!」


呆れたように零したリアムがイザベラを押し退けて仕切りに近い扉を開けて中へと押し入った。

イザベラたちも仕方なく後に続くと、突然の侵入者に驚きぽかんとこちらを見つめている子供たちと目があった。


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