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79 コンテスト 後

観客だけでなく、審査員たちもが呆然としていた。今のは理想のカップル…なのだろうか。どう見ても別れがテーマに見えたのだが。だが、決意を新たに進もうとする姿は別れというよりもう少し力強い…自立と表現した方がいいのかもしれない。


「なるほど、自立…か」

「理想のカップルがテーマで自立、ですか?」


一見真逆のように感じる捉え方である。これを理想と言えるのか、まあ理想のカップルなんてのはそもそもかなり個人的嗜好に左右されるのだが。

そういう意味では先程の二人はどちらも見目麗しく何より人を惹きつける華やかさがあった。異常なほどに。

ただ美しいだけではなく、思わず息を呑むような…妖艶と形容すればいいだろうか。

いつまでも見ていたくなるような、それでいてあまり見すぎているとどこかに引き摺り込まれてしまいそうな…一言でいえば魅了されていたのだ。その場にいる誰もが。

その証拠に、彼女たちの出番はかなり後であったにも関わらず、既に頭の中は彼女たちの姿だけしか残っていなかった。他の参加者たちの姿が抜け落ちてしまうほどの威力。

印象を残すという意味では、間違いなく彼女たちがトップだったと言ってもいいだろう。

だが…

そうこう考えているうちに、最後の参加者がステージ上に現れた。

こちらのカップルも非常にレベルが高い。男性は黒髪に赤色の瞳で、逞しさを感じさせられる騎士のような…だが爽やかさはあまりなく、魔王のような…とにかく威圧的で迫力があった。

一方女性は逆にとても可憐で、桃色の髪に潤んだ大きい緑の瞳。誰もが彼女を庇護してあげたいと感じる姫君と呼びたくなるような魅力を持っていた。

あまりカップルらしくない初々しいというよりはよそよそしさを感じる二人は、それでも人目を惹くには違いなく。

先程の二人と全く違うタイプの登場に、審査員たちは心を奪われていた。


こうして全ての参加者が出揃い、若干悩むところはあったものの誰もが予想していた通り、コンテストの優勝者はイザベラ・ノアのペアとなったのであった。

そして表彰式に移る際、どうやら準優勝のペアと彼女たちが知り合いだったらしいということが露見し、それによって彼女たちの神秘的なイメージが若干修正されはしたものの、コンテスト自体は準備含めて慌ただしかったにも関わらず、無事に10周年記念という大きな節目を締めくくるに相応しいものとなったのであった。

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