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22 仲間探しは前途多難

仲間なんて直ぐに見つかる!そう信じていたあの日から、なんと3週間が経過した。3週間!約一ヶ月!

結果として、仲間はまだ一人も見つかっていなかった。

ロビンに意地悪されて紹介してもらえなかったわけではない。仕事熱心な彼は、それこそ毎日のように人を紹介してくれた。待ったをかけたのはイザベラの方である。


「面接とか今までしたことなかったけど…結構疲れるのね…」


一度仲間にするなら、最後まで共に冒険したいとイザベラは考えていた。最後、つまり魔王である。

てっきり冒険者といえば皆魔王討伐が目標なんでしょ?と安易に考えていたのだが、様々な冒険者と出会ってみて、むしろその目標を持っている者は少数派だということを面接を通じて嫌という程に思い知らされた。


まず、最も多い目的は金であった。なんとも即物的で分かりやすい。確かに冒険者が職業として成り立つ以上、生活を送る手段として冒険者を選択する者がいることは想定すべきであった。

まあ、目的が金銭報酬というのも、別にそれだけであれば障害にはならない。問題は彼ら彼女らに、魔王を倒すほどのモチベーションがないことであった。

考えてみれば当然である。魔王を倒すためには命を失う危険性があり、尚且つ血を吐くような努力がおそらく必要となるに違いない。

現状のクエストによる報酬で満足している彼らが、そう簡単に頷いてくれるはずがなかったのだ。

例えるなら、趣味のサークル活動で満足している人に対して、一緒にプロ野球選手を目指そう!と言うようなものである。断られるに決まっている。

加えて、イザベラの職業もネックになっていた。せめて盾として貢献出来る剣士や、回復が出来る白魔道士であれば、もう少し簡単に仲間を見つけることが出来たかもしれない。

しかしイザベラは攻撃役としていくらでも替えのきく黒魔道士。しかも最低ランクの。パーティメンバーとしての魅力は皆無に等しい。


(これはちゃんと戦略を練らない限り、いつまで経っても仲間を見つけられそうにないわね)


そんなことを考えながら、イザベラはほとんど頭に入っていない本のページをぱらりと捲る。

手にしていた本は、魔法薬の調合について書かれているものであった。


(うーん…この本も難しそう。魔法薬調合入門書とかあればいいのに。もしくはサルでも分かる魔法薬調合とか)


手にしていた本を棚に片付け、隣の本を手に取って中身を確認する。

薬草摘みの日課は相変わらず続いていたが、少し前からローザの魔法薬調合の手伝いも行うようになっていた。

彼女の教え方は放任&スパルタであったが、魔法薬を自分で調合出来るようになるのは非常にありがたい。

自身で使用するのはもちろんのこと、販売して稼ぐことも可能になるのだ。


「これでいいか…。読んでる途中で寝ちゃいそうだけど」


魔法薬の調合はなかなか専門性が高いため、一般に知識として普及しておらず、分厚い教科書のような本ばかりである。

(帰ったらゆっくり読もう…)

なるべく分かりやすいものを探していたのだが、ついに選ぶのを諦め、適当な本を5冊選んでイザベラは図書室を後にした。

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