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151 闘技大会前夜4

「ち、違うわ!リアムとはただの冒険仲間よ。あなたこそ一緒に居たマチルダと恋人ではないの?」

「マチルダと?いや、彼女とは幼馴染だ。恋仲ではない。そうか、君たちは恋人ではなかったのか、それなら安心だな」

「えーと…?」

「君みたいな女性はオレのタイプだ!この大会が終われば改めて口説かせてくれ。…では、今日のところはこれで失礼するとしよう」

「……はい?」


なんだかとんでもないことを言われた気がする。イザベラが思わず放心している間にイアンはさっさと部屋へと戻ってしまった。一人取り残されたイザベラは何とも言えない表情のまま硬直していた。

しばらくして冷静さを幾分か取り戻してから、イザベラは自身の頬が熱っていることに気づき、両頬に手を添える。


「……私、彼に告白された…?って、もしかしてイアンって攻略対象者なの…?まさかあれでクリアってわけではないんでしょうけど…マチルダと付き合ってたわけじゃなかったんだ…びっくりした…」


少しでも動揺を和らげようと思ったことをそのまま口に出してみる。最後の爆弾発言のせいで若干記憶が曖昧になってしまったが、そういえばイアンはかなり興味深い話をしていた。


「どうしよう…やっぱりリアムとノアには出場を見送ってもらった方がいいのかしら…でも…イアンの話を聞いてそう思ったっていうだけじゃ、流石に説得はできそうにないわね…」


そもそもイアンの言った通り、イザベラたちがこの大会に出場する理由は大したものではない。いくらリアムとノアが規格外の強さだからとはいえ、普通の戦闘に慣れているというだけで、きっと競技としての大会ではまた勝手が違ってくるのではないだろうか。

イアンは見るからに猛者といった雰囲気であったが、マチルダはどう見ても戦闘タイプではない。もしかするとイザベラと同じ黒魔道士なのかもしれないが、そこまで広くもないフィールドで戦うのに遠距離攻撃タイプではかなり苦戦することは目に見えていた。

そういった意味ではリアムはともかく、ノアは個人戦に持ち込まれれば不利かもしれない。彼の剣の腕はそれなりであるが、それなりで通用するレベルではないはずだ。まあノアのことだから、うまく棄権するだろうが。


「問題は、やっぱりリアムよね…」


彼は正々堂々戦うと言っていたが、彼のパワーはまだ読めない。死人が出たこともあると言っていた以上おそらく死者を出しても失格にはならないのだろう、だが…モンスターでも悪人でもないただの大会参加者の命を奪うなんて後味が悪すぎる。

とはいえリアムは魔力でゴリ押しする傾向がある。繊細なコントロールなど彼に期待できない。


「うぅ…無理…私の手に負える問題じゃないわよこんなの…」


イザベラはついに頭を抱えてしまった。いずれにせよトラブルなくこの大会を終えることは望めそうにない。

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