表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/154

15 旅立ちの日

今日はイザベラが王都へ旅立つ日である。


あの日ガチャで手に入れた人魚のウロコは、朝目が覚めると手に持ったままであった。

レアアイテムということなので極力バレないようにしようと、誰にも見つからないように大事にしまい、もちろん今日も身に付けている。


エリックからは告白されて以降、返事を急かされることもなく、王都行きを止められることもなく、まるで告白自体がなかったかのように自然に接してくれていた。

だが、時折彼がイザベラを見つめる瞳は、とても愛しげで柔らかく、思わず何度かときめいてしまったのも事実である。

(所詮恋愛ゲームって思ってたけど…なんだか思ってたのと随分違うな…)

エリックから愛情の込められた視線を送られるたびに、くすぐったいような照れくさいような嬉しいような、複雑な想いがイザベラの胸中を渦巻いた。


そして告白の夜以降、出発の今日に至るまで、毎晩なぜかイレーナと飲みに行くことになった。

イレーナはイザベラと飲みに行くことに味をしめたのか(?)2回目以降は彼女の方からイザベラを誘ってくるようになったのだ。

イザベラとしても断る理由はなかったので、結果として毎晩別れを惜しむイレーナを慰めるはめになってしまった。

おかげで、イザベラと一緒にご飯を食べる回数が減ってしまった!と嘆く両親を宥めるはめにもなった。

(この世界の住人たちは愛情深いのかしら…)

思わずひっそりと苦笑を浮かべてしまうイザベラであった。


現在、旅立ちの準備を済ませて町の外れへとやってきたイザベラ。

見送りに来てくれたのは、両親、エリック、そしてイレーナ。

案の定エリック以外は大号泣である。エリックとイザベラは顔を見合わせて苦笑し合う。


「随分愛されているんだね、イザベラ」

「そう…みたいね。ありがたいことだわ」

「もちろん僕も君のことを愛してるよ」

「……!…エリック…っ」


エリックはイザベラに告白して以降、吹っ切れたのか開き直ったのか不明であるが、こうしたように堂々と好意を示してくるようになった。

嬉しくないと言えば嘘になるが、人目がある前でもやられると流石に恥ずかしい。

イザベラの顔にさっと朱が走り、諌めるように睨みつけた。赤い顔で睨み付けても効果が半減してしまうことは経験済みだったが、仕方がない。分かっていても意思表示をすることが重要なのだ。

堂々としたイチャつき(に見えなくもない)やり取りを、泣いていたはずの3人が囃し立てたため、ますますイザベラの顔は赤く染ったのであった。


「それじゃあ、行ってくるわね」

「気をつけてね」

「行ってらっしゃいませ、イザベラさん。帰りをお待ちしております」

「王都に住むお前の師範となる方にはもう連絡は入れてあるからね」

「行ってらっしゃい、イザベラ。君に相応しい男になれるよう僕はこれからも精進するよ。お互い頑張ろう」

「みんな、ありがとう。みんなの期待に応えられるよう精一杯頑張るわ!」


大好きな4人に見送られ、イザベラは満面の笑みで手を振り、意気揚々と王都を目指して出発したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ