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147 進展なし

イザベラの様子が変わったことにリアムが気づいたのは、二人組と別れた後のことだった。

結局互いの名を名乗るのも忘れていたなと思い出したが、既に二人の姿はない。

まあどちらにせよ彼らの言うことが確かであれば明日の大会で否が応でも知ることにはなるのだろう。彼らの様子からして弱いとは到底思えない。きっと彼らも優勝候補者に違いない。

ノアはAランクの冒険者で強いうえに引き際も上手そうだ。そしてリアムはそのノアをもってしても規格外の強さだと言われるほどである。

そういった意味での心配は不要だとは思うのだが…万が一ということもある。

自分は二人を危険に晒すことになるのかと改めて実感したのだ。


俯き顔を強張らせていたイザベラにリアムが首を捻った。


「どうかしたのか?」

「…あ。えっと…その、…怪我、しないでね」


勝手だとは思っていたが、イザベラは思っていたことを声に出してしまう。

すると予想だにしない言葉だったのだろう、リアムが驚いたように目を瞠ってから、ふっと顔を綻ばせた。


「当然だ。案ずるな」

「……よかった」


ふわりと微笑んだイザベラの頭にリアムの手が触れた。ぽんと宥めるように触れた手から伝わる熱がなんだかむず痒い。

思わず固まってしまったイザベラに、リアムは気まずそうに手を離した。


「……すまない、つい…」

「いえ!っ、その、全然気にしてないわ」


リアムの反応に気を悪くさせたかと思い、慌てて首を横に振ったのだが、なぜだか眉根を顰められた。なぜだろう。


その後、二人でぶらぶらと歩いてみたものの、目ぼしい情報は得られなかった。

ノアとシャーロットと合流したが、彼らも同様に特に情報を得ることはできなかったらしい。

4人でテーブルを囲みながら夕食を摂りつつ、今日あった出来事を話す。


「ふうん、マッチョな兄さんとクールな姉さんか…オレたちは見かけなかったな」

「そうですね。参加者かそうでないのかも一見しただけでは分かりませんし…」

「そうよね。何か目印があるわけでもないし…どれくらいいるのかしらね、大会の参加者って」


イザベラたちに絡んできた男たちがいかにもモブですといった感じで、優勝候補者と聞いていたためそこまで大した大会ではないのかと思っていたのだが…これだけ観光として有名なのだ。もしかするとそれなりに腕試しにくる人たちも多いのかもしれない。


夕食を取り終え、男性二人と別れシャーロットと部屋に戻ることにした。

部屋は男女で二部屋とったため、イザベラはシャーロットと同室である。

寝る支度を整えた後、ベッドに腰掛けているとシャーロットが何か言いたげに視線を寄越した。

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