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142 トラブルの予感

「ここが戦闘都市…」


(うーん…どう見てもコロッセウムなのよね…)


イタリアのローマにあるコロッセウム。今はもちろん使われておらずただの観光地であるが、はるか昔には円形闘技場として機能していたと言われている巨大な建造物。

元の世界では行ったことはないがとても有名な建物である。きっとこのゲームの制作者も参考にしたに違いない。それほどまでにイザベラの記憶にある建物と目の前に聳え立つ建物は酷似していた。


「凄いな。オレは初めて来たよ」

「私も初めてです。とても巨大ですね…ここが闘技場なのでしょうか?」

「そうみたいだな」


ノアとシャーロットはどこか高揚している様子だ。イザベラも気持ちは分かる。そして対照的にリアムは未だ不機嫌を引きずっていた。しかしその原因はいまいちよく分からない。

ノアやシャーロットもであるが、彼らはあまり気持ちを素直にアピールしないところがある。秘密主義者というか…何を考えているのかいまいち分からないことが多いのだ。

一緒に旅する中で少しは理解できたと思ったのだが、リアムについてはまだまだ謎が多い。

ちらりとリアムを見上げると、彼もこちらを見ており目があった。どきりと心臓が跳ね、目を見開いてしまう。

リアムはそんなイザベラの様子に怪訝そうに眉を引き上げてから嘆息した。言いたいことがあるならはっきりと言ってほしい。ピクリとイザベラのこめかみが引き攣る。


そしてすっかりと油断していたため、不意に前方から人が駆け寄ってくるところに気付くのが遅れてしまった。


「あの…!助けてください…!!」


気付いたときには一人の女性がリアムに抱きついていた。

咄嗟のことで呆気に取られたように全員がぽかんと彼女に目を向ける。

唯一抱きつかれていたリアムは嫌そうに女性を見たが、必死の形相だからだろうその手を振り払うことはなかった。

女性は遠くから走ってきたのかリアムに抱きついたまま(抱きついている必要性ある??とイザベラは思った)呼吸を整えている。リアムが嫌そうにしていることだけが救いだ。いやなんの救いかは知らないが。


そういえば彼女は助けてと言っていたなと思い出したのは、彼女の後を追いかけてやってきたいかにも柄の悪そうな男たちをリアムとノアが容赦無くぼこぼこに倒してしまった後のことである。

いかにも俺たち悪役だぜ!と言わんばかりの男たちは、信じられないほどに呆気なく倒されてしまい、結局彼女がどんな理由で彼らから追われていたのかを聞く余裕すらなかった。

そしてそんな助けられたはずの彼女ですら、リアムたちの強さにドン引きしていたのであった。


イザベラたちはこの人助けがこの後多大なトラブルとなることをこのときはまだ知る由もなかった。

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