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141 ノアとイザベラ

「それにしても、戦闘都市ってどんなところなの?なんというか、名前的にちょっと怖そうよね…」


イザベラ一行はリアムの操縦により船で次の目的地へと移動していた。

イザベラはノアと共に見張り役に立候補し(なぜかリアムに睨まれた)見張り台でのんびりと会話しているところである。

シャーロットは少し休むと言って部屋におり、リアムは船橋にいた。


イザベラの疑問に対して、ノアはからりと笑う。


「あはは!確かにそう感じてもおかしくないかもね。でも大丈夫だよ、戦闘といってもそこら中で勃発しているわけではなくて、都市の中心にあるコロッセウムでそういう大会が頻繁に行われているだけだから」

「……なるほど。魔王はその闘技大会に出場したってこと?」

「まさか!そんなことしたらコロッセウムが破壊されちゃうよ。噂は噂だからね…本当に現れたのも怪しい話だけれど。もしかすると血の匂いというか、荒々しい空気に触発されちゃった…とか?うーん、分からないなあ」

「そうよね。ところであなたは闘技大会に出場するつもりなの?」

「ええ?オレはそういう荒々しいのは苦手だから今のところ出場するつもりはないよ。まあ、君がどうしてもって言うんなら出場しちゃおっかなあ?」

「魔王がいないなら出場する意味なんてないでしょ」

「まあねえ。じゃあ君は?魔王がもし出場者にいたら出るってこと?」

「え?……うーん…今の私に勝てると思う?」

「夢見るのは自由だからね」

「無理ってはっきり言ってよ!」

「あはは!ごめんごめん。自分の実力は把握してるんだ?」

「まあ、そりゃあ…。あなたやリアムに比べたらみじんこみたいなものってことくらいわね」

「うーん。そこまで弱くないと思うよ。オレから見ても君はそれなりに強いと思う。ただオレはそれなりに強いという自負はあるし、リアムは…なんというか、規格外みたいなやつだから、比較対象としてはどうなのかなあ」

「でも魔王自体規格外の代表格じゃない」

「それもそうなんだけど」


あははとノアが楽しげに笑う。先ほどから笑われてばかりだ。なんともいえない気持ちになったイザベラであったが、そのとき船がぐらりと揺れバランスを崩したイザベラはノアに抱きとめられた。


「…きゃ…!」

「おっと。…男の嫉妬はみっともないよね」

「ありがとう。…え?」

「なんでもないよ。じゃあオレはそろそろ部屋に戻ろうかな」

「分かったわ」


ノアの去り際のセリフにイザベラはきょとんと目を丸くする。

もちろん激鈍主人公ではないので、彼の言っていた意味は理解できた。

理解できたが、…なんだろう。それは…それでは、まるでリアムがイザベラに惚れているかのようではないか。


そこまで考え、イザベラは自身の頬が熱くなっているのを感じた。

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