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135 秘密を知る者

リアムの導きにより脱出してみると、そこはやはりイザベラが想像していたように精神世界であったらしい。

外の世界に出たと思った途端、イザベラは目を覚ました。

そこはイザベラが学園で与えられていた寮の一室であった。ベッドの側にはシャーロット、リアム、ノアが揃っている。

ずっとここで待っていてくれたのだろうか?なんとなく気恥ずかしさを覚えながら、一番傍にいたシャーロットに声を掛けた。


「あの…さっきは助けてくれてありがとう」

「いえ、リアムさんのお力です」

「……いや、シャーロットだ」


(どっち!?)


とにかく二人のおかげだということが分かり、了承したというように頷いてから問いを向ける。


「私、どれくらいこうしてたの?あとサイラスさんは?」

「丸二日くらいでしょうか。サイラスさんも無事です。ご安心を」

「……よかった…」

「ええ、本当に」

「あっ、どうやって助けてくれたの?二人のおかげってどういうこと?というかあの世界って一体何だったの?」

「……ええと…」


聞きたいことがありすぎて重ねてイザベラがシャーロットに問うと、シャーロットが困惑したように眉尻を下げた。

そしてちらりと背後の二人を見ると、二人は納得したように頷いてから部屋を出て行ってしまった。


「え?なに?どういうこと?」

「……少し、お二人でお話ししましょうか」

「ええ」

「単刀直入に言いますと、私は元プレイヤーです」

「……え」


イザベラは突然のシャーロットの告白に身体を強ばらせたが、何となく予想はしていたため動揺を押しとどめることができた。


「そして私の杖は水の杖。貴女の持っている光のレイピアの…そうですね、双子とでもいいましょうか。どちらもオリビア様のものなんです。だから二つが惹かれ合い、貴女の居場所に辿り着くことができた。…まあ私一人の力ではそれも無理でしたが、リアムさんはあの通り規格外の強さですので」

「……なるほど、それが二人のおかげってことなのね」

「ええ、あのお二人にはもちろんプレイヤーの話はしていませんが…」

「元プレイヤーということは…」

「はい。イザベラさんはあの世界で既に知ったかもしれませんが、私はとある方と生きてゆく道を選択いたしました。その時点でプレイヤーではなくなっていました、…が、…ある事件をきっかけにその彼を亡くしてしまいました」

「そう…」


思いがけず知ってしまっていたとはいえ、本人の口から直接聞くのではダメージの量が桁違いである。イザベラは思わず顔を歪ませた。


「ですから今は純粋な冒険者ですね。ただのヒーラーです」

「……ちょっと待って!」

「はい」

「その…一緒に生きていく彼を失ったとして、その場合でも元の世界に戻ることは、できないの…?」

「そうみたいですね。私はゲームを降りたときから一度も女神様にはお会いしておりません」

「そうなの…」


イザベラに動揺が走る。あの選択肢にはこんな続きがあったというのか。


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