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106 名門校

「着いたぞ。ここが古の都市か?」


リアムの操縦していた船はその後嵐に遭うこともなく、無事古の都市に着くことができた。

船を停泊し、手続きを済ませると改めて周囲を見渡した。

今まで立ち寄った都市とはどことも異なる独特の雰囲気を持った都市である。

古の都市は古というだけあってあまり文明的に発達していないようだ。


(何もかも魔法で済ませちゃうから逆に文明が発達しないのね…)


高い建物もなく、活気があるわけでもない。

観光客の数も少なそうだ。観光に力を入れているわけでもないらしい。

魔道士らしい姿は至るところに確認できるものの、花の都市の賑やかさには劣る。

さすがにイザベラの故郷よりは発展しているし人の数も多いが、一言で言うなら閉鎖的といった言葉がぴったりであった。

空には箒で飛ぶ魔道士の姿もある。


(魔道士って箒で飛べるんだ…!?知らなかった…)


今度試してみようと心に刻みつつ、シャーロットの案内で都市の中を進んだ。

シャーロットはそうだが、ノアも古の都市には訪れたことがあるらしい。

リアムは初めてだと言っていた。


「まあ、オレやリアムみたいな魔道士以外のやつにとってはそこまで居心地のいい場所ってわけじゃないけどね」


ノアがそう言って苦笑する。居心地が良くないとは…差別なんかがあるのだろうか。

魔道士とそれ以外の差別とはあまり聞いたことがない。

というか、リアムは魔法剣士なのでどちらかというと物理職寄りの印象だが、ノアは召喚士だ。召喚士って物理職よりは魔法職のイメージなのだが。

そんな厳格に分類されているということなのか?

そういった情報は今まであまり集めてこなかったため、いまいちピンとこない。

ノアの言葉にシャーロットやリアムが口を挟む様子はないので、常識の一つだということだろうか。

まあそもそも二人はそこまで口数の多いタイプではないから、あまり当てに出来ないのだが。


そんなことを考えながら歩いていると、シャーロットが足を止めた。

目の前に聳え立つ建物は…


「……学校?」


表札から見て、どうやら学校のようだ。

どうして学校なんかに?とイザベラが首を傾げた。

そしてかなり巨大な学校である。敷地面積的に学校ではなく王宮か何かかと思ってしまったくらいだ。

立地もいい。一等地にこれだけの敷地をとっているということは、この学校は古の都市においてかなり重要なポジションであることは察せられる。


「ええ、学校。ここは魔道士の名門校です。私の…彼、が勤務していました」

「私の彼…!!?」


思いがけない発言にイザベラはぎょっと目を瞠った。

彼というのは彼氏か?シャーロットの彼氏?それも過去形?

聞きたいことがありすぎて言葉を紡げずにいると、シャーロットはさっさと学園内に足を踏み入れてしまった。

警備の人と一言二言会話し、そのまま中へと入れてもらう。

シャーロットの目的は一体何なのか。

たくさんの疑問を抱えたまま、イザベラたちはシャーロットの後に続くしかなかった。

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