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103 女神との再会

ゆるゆると意識が浮上する。


「ここは…」


真っ青な空がどこまでも広がっている不思議な空間、一定の間隔を開けて並んだ3つの扉。

それから、白い衣を纏った一人の女性と、長机の上の抽選機。

いつもの空間だ。


「攻略対象者はジーンだったのね…」


てっきりノアだと勘違いしていた。だからこそ不意打ちのように感じてしまった。

ゲームでは散々色んな男を落としてきたというのに、対面となるとやはりまだまだ慣れない。


「第5ステージクリア、おめでとうございます!」


にこにこと女神に微笑まれ、安堵する。ネックレスを取り戻せて良かった…と心から思った。


「これから貴女には3つの選択肢が与えられます。1つ目はストーリーを続けること。2つ目は元の世界に帰ること。3つ目はクリアしたキャラと共にその後の人生を共に歩むこと。貴女はどの道を選びますか?」

「私は、ストーリーを続ける道を選びます」


答えるイザベラに迷いの色はない。


「畏まりました。それではクリア特典のSSR確定ガチャをどうぞ1回お引き下さい」

「はい」


女神から与えられるアイテムは使えるような使えないような…今のところ半々といったところだろうか。

どれも素晴らしいアイテムには違いないのだが、いまいち使いこなせていないような気がする。


(私の実力が足りないだけかもしれないけど…)


内心苦笑しつつ、選器のレバーを回した。

からんと乾いた音を立て、虹色の玉が落ちる。眩い光が周囲を包んだかと思うと、出てきたのは金のシンプルな腕輪だった。


「腕輪…?」

「おめでとうございます!こちらは魔力封じの腕輪です」

「え?呪われてる系?」

「いえ、自身の魔法を封じるのではなく、1回使用すると任意の対象者一名の魔力を10分間封じることができます。ただし一度使うと3時間間を置かないと使えません」

「なるほど…」


かなり強そうである。さすがSSR。ただし同時に頭も使うだろうなということもよぎった。

装備ばかりが強くなっても、肝心の使用者がこれでは…とついネガティブな考えをしそうになるも、首を振って気持ちを持ち直す。

大丈夫、これから強くなっていけばいいのだ。

次の目的地ではランクアップもできるみたいだし、順調に強くなっている気はする。


「あまりお気に召しませんでしたか?」


イザベラが考え込んでいたせいか、女神が首を傾げて問いを向けた。


「あっ、いえ…私に使いこなせるかなって…不安になっただけです」


正直に気持ちを吐露すると、ふわりと女神が微笑む。


「このガチャは本当にランダムで抽出されているわけではありません。今の貴女に最適だと思われるものが選ばれているのですよ」

「……そう、なんですか…?」

「ええ、ですから自信を持ってください」


まさか女神に勇気づけられるとは。いまいちイザベラはこの女神がいい人なのかどうなのか判断がつかなかった。


(まあいいか。どちらにせよ素敵なアイテムを貰えてることに違いはないんだから)


「ありがとう。それじゃあ行ってくるわね」

「ええ、行ってらっしゃい」


いつものように見送られながら、イザベラは不思議な空間を後にするのだった。

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