101 次の目的地
約束の一週間後
シャーロットたちは、次の目的地を決めた。
「古の都市?それって…」
「はい、私が以前住んでいたところです」
「そう。いつかそこに行ってみたいと言っていたものね」
「ええ、ここからそう遠くありませんし、私たちのランク上げも兼ねようかという話になりまして」
「ランク上げ?」
「古の都市は魔道士にとって最良の場所。ランク上げも魔道士に適したものが多数用意されているんです。リアムさんにはあまり関係がなくなってしまいますが、現状彼と私たちにはかなりの実力差がありますので。まずは私たちが強くなることが先決かと。もちろんリアムさんにも許可は頂いております」
「そう…。シャーロットはともかく、私はまだDランクだものね」
「そうなの?その実力ならきっとCランクには軽く上がれると思うよ。何ならBもいけるかも?」
シャーロットとイザベラが話していると、横からノアが驚いたように口を挟んだ。Aランクの彼にそう言っていただけると心強い。
「ありがとう。自分が足手纏いなのを気にしてたから、そう言ってもらえると嬉しいわ。リアムは本当にいいの?」
「ああ。古の都市には一度行ってみたいと思っていた。それに俺は魔法剣士だ。魔法と無縁というわけではない」
「えっ?魔法剣士?お前が?」
再びノアが驚いたような声を上げ、イザベラはきょとんと目を瞬いた。
「どうかしたの?」
「……いや、…お前魔法も使えるのか…」
「そうだが?」
「確か、Bランク…なんだよな?」
「ああ」
「ふうん…?」
何か物言いたげなノアの様子は気になるが、もう少しでジーンがやってきてしまう。
イザベラは話を進めることにした。
「分かったわ。じゃあ次の目的地は古の都市にしましょう。ノア、協力してくれてありがとう」
「お構いなく。それでイザベラ、ジーンの方はどうだい?」
「ええ、ばっちりよ。今日はそれで皆に集まってもらったんだけど…」
イザベラの話の途中、部屋をノックする音が響いた。どうやらジーンがやってきたらしい。
タイミングとしてはちょうどいい。
「どうぞ、入って」
イザベラが声を張ると、がちゃりとノブを回す音がしてジーンが姿を現した。
室内にまさか全員いるとは思っていなかったようで、びくりと肩を跳ねさせ怯えた表情を浮かべている。
ジーンは未だにリアムのことが苦手らしい。
リアムは確かにやや高圧的に見えないこともないし、誰に対しても容赦のない人だから仕方がないのかもしれない。
「ごめんなさい驚かせちゃったわね。今日は最終試験をやろうと思ってみんなを呼んだの。ジーン、あなたの力を見せてちょうだい」
「……分かった」
微笑みながら告げると、ジーンは躊躇いながらも頷きいつものように魔法薬作りに取りかかった。




