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本隊と合流しただけで勝てるわけでもなく

064



 メレデクヘーギ侯爵が僕とドラゴンの間に割って入って攻撃し、僕ももらったアダマントの剣を手に突撃する。


 それを追うように探検隊の本隊がやってきて、騎士団や冒険者がドラゴンを攻撃しはじめた。


「古龍か? 強いぞ!」


「いや、年を経た個体だが古龍まではいかないだろう。レッドドラゴンのじいさんだな」


「じいさんにしてはタフじゃないか」


「龍種は年を経れば減るほど力を増すんだから、じいさんのほうがむしろ強いだろ」


「おいおい、ばあさんかもしれないぞ」


「うん、ばあさんだな。怒ってる」


 じいさんにしてはタフだと軽口を叩いた騎士がドラゴンの左手で殴られて飛んでいくのを見て、まわりの騎士たちがドラゴンをお婆さん認定する。


 さすがにメレデクヘーギ侯爵家の騎士と、それに雇われるだけの腕利き冒険者だけあって、すぐに陣を敷き、ドラゴンに立ち向かう。


 バトルではなく、ただのハンティング――少々手強いところがあるものの、命がけの勝負ではなく魔獣狩りとなった。


 本来なら包囲して右が攻撃して魔獣の注意を引きつけると、反対の左側にいる部隊が攻撃を仕掛けたり、前や後ろの部隊と連携したりするのだけれど、ここはダンジョン内で、しかもドラゴンが巨体過ぎて包囲はできなかった。


 ダンジョンの右端と左端の二手にわかれて、右の部隊が攻撃してドラゴンがそっちを向くと、すかさず左の部隊が深く踏み込んでの全力攻撃。


 痛みに怒り狂ったドラゴンが左方向を向くと、右の部隊が全力攻撃。


 その攻撃方法も剣、槍、弓、魔法など、多彩なものだった。


 僕は侯爵について集団戦を学ぶ――いちおう前世のゲームではレイドの経験も豊富だけど、それがそのまま通用するわけでもないしね。


 この世界にはこの世界の戦術やら駆け引きがあるはず。


 侯爵が前へ出ると、僕も前へ出る。


 後ろにさがったら、すぐに後ろにさがる。


 えっ? むしろ、ここは前へ出る場面じゃないの? と思っても侯爵が後退するのなら黙って僕も後退。


 いまは不合理に感じられても、なにか意味があるのかもしれないし。


 だんだん周囲に遅れることなく同じテンポで動けるようになってくる。


 こういうときの一体感はかなり好きだ。


 ドラゴンがさがった隙に、みんなで前へ踏み込み、一斉に攻撃する。


 僕も新しい剣でドラゴンの膝を突いた。


 さっきまで鱗で弾かれて手が痛くなるばかりだったのに、ズブッと肉に突き刺さる感触が伝わってくる。


 なるほど、アダマントの剣でないとドラゴンとは戦えない。


 ここまで鋼鉄の剣との差があるのはショックだ――せっかく手に入れたばかりの大剣で、とっても嬉しかったのに、その感動が薄れてしまいそう。


「かかれ!」


「引け!」


 左右で号令がかかって戦陣が動く。


 もう狩りですらなくなって、ほとんど作業だ。


 ずっと僕が攻撃し続けている膝もグラグラになっている。


 そうやってドラゴンを追い詰めていき、そろそろ終わりが見えてきたのかな? と思った瞬間だった。


「ギャャャーーーーーッツツ!」


 いままでとは違う圧の強い吠え声が響くのと同時に、その口に赤いものがせり上がってきている。


 ブレスか?


 隊列の前へ出る。


「追儺式!」


 はじめて手にした剣で上手くいくかわからなかったけど、とっさに自分の前で高速回転させてみた。


 前世でやった『トリディアーノ・レコード』というゲームの防御技。


 他のゲームでも似たようなモーションの防御剣技があるものもあったから、そこでも再現してみせたり、そうでないゲームでも無理にやってみたこともあるし、僕にとっては馴染み深い防御技だ。


 これがドラゴンのブレスをどこまでしのいでくれるかわからないけど――ドラゴンが吐き出したブレスで目の前が真っ赤に染まった。


 剣技はなんとか完成している。


 あとはブレスが終わるまで維持できるかどうか。


 もうすでにかなりキツいが、その一方で癒やされていく感覚があった。


 フェヘールが治癒魔法をかけ続けてくれているのだ。


 僕1人だけなら持たなかったと思うけど、2人でなら問題ない。


 だけど、無傷というわけにはいかなくて、ブレスがやんだ瞬間、がっくりと膝をつく。


 だけど、それさえもフェヘールの治癒魔法が癒やしてくれた。


 立ち上がって、周囲を見る。


 僕の後ろで焦げた装備を着た侯爵が前を睨みつけていた。


 その後ろで騎士や冒険者が倒れている。


 死んではいないだけで、もう戦うことはできないだろう。


 反対にいる別働隊も壊滅状態だ。


 こっちは死んだように見える人までいて、盾持ちが比較的ましな様子だった。


 後方にいたフェヘールや白樺救護団のヒーラーたちは無事だ。


 とっさに出した防御剣技『追儺式』でブレスを減衰できてよかった。


 有利に進めていたのに、一瞬で引っ繰り返された。


 これがドラゴン狩りというものなのか。


「撤退!」


 メレデクヘーギ侯爵がとっさに判断を下す。


 そして、自身はその撤退時間を稼ぐためドラゴンに向かって突撃。


 僕も続いた。


 全力で膝を突く。


 かなりのダメージを与えているはずなのに、まだ部位破壊できないのか。


 グラグラしていて、踏ん張りがきかなくなってきているはずなんだけど。


「いっそ、あいつを殺りますか?」


 僕は侯爵にヘリアルを倒すことを提案した。


 このドラゴンをどうやって従わせているのか不明だけど、操縦者がいなくなったらラジコンは止まるだろう。


「そのほうが早いか……やろう」


「こじ開けます」


 侯爵が頷いたので僕がさらに膝をブスブスと突き刺して、ドラゴンを右側に寄せようとする。


 左側にスペースを作ると、侯爵がヘリアルに向かって突撃した。


 だが、それをドラゴンの尾が阻む。


 いままでダンジョンの壁があったおかげで尻尾の攻撃はなかったが、その攻撃範囲に自分のほうから入り込んでしまったのだ。


 とっさに剣を自分の体の前に立ててガードした侯爵だったが、威力が強すぎて吹き飛ばされてしまう。


 すぐにドラゴンの膝から剣を引き抜いて助けにいこうとした僕をドラゴンの牙が襲ってきた。


 反射的に剣を振りかぶって迎え撃つ。


 狙うは僕を一口で丸呑みしてやろうと迫る口の、その上についている鼻。


 上手く刃を立てることができなくても、金属の棒で殴りつけるのと同様の効果はあるはず。


 いま!


 タイミングを見計らって全力で剣を振ったら、急にドラゴンは動きを止めた。


 くそっ、フェイントか?


 思いっきり空振りして、体勢を崩してしまう。


 動きを止めたドラゴンが再び動き出し、僕の頭上で大きな口を開けた。


 食われる!







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