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Side異世界:異世界直葬トラックの車種や会社名を言うと問題が起きるので言うことはできない

 そこには、女神っぽい主神カーキンがいた。


 いや、実際にカーキンは女神である。


 その美貌は最高だ。思わずむしゃぶりつきたくなるほどである。


 女神カーキンは日本神話の主神と同じく引きこもり体質だ。


 ――だからだろうか、女神カーンは日本の神や業者とも仲が良い。だからこうやって異世界転移を日本から引っ張ってくることができる。


「あぁ、ごめんなさい。貴方を寿命が来た人間と間違ってトラックでひき殺してしまったわー」


 女神らしく起伏の無いセリフをのたまう。

 いつものセリフだ。何十回言っただろうか。間違いようがない。


「な、なんだと――」


 この「女神の間」に連れてこられた男としては当然の戸惑いだろう。


 だが、ネット小説のネタがごとく、これからの反応は戸惑うことになる。


 男は叫んだ。


「トラックで轢かれて死んだとしたら、これ以上パチス〇ができなくなってしまうではないか!」


「あれ? 貴方、未成年じゃなかったでしたっけ? 未成年だとするならば、可哀そうだと思って、異世界であるゲームの世界にチートな能力を持たせて送り出そうと思っていたのですが――」


「あ、あぁ、なるほど。いやいや。ちがうんだ。パチス〇は最近家庭用とかも出ているだろう? あーいうのは、課金が関係しなければ、未成年でもゲームができるのだ」


 トラックに轢かれて転生ができるだろうと考えた男は、とりあえず自分が未成年であると嘯いた。



 つまり、大人の対応である。



 ここでもし大人だということにしてしまえば、やはり寿命だから死んでなどといってそのまま異世界転移できなくなるという事象になるのかもしれないのだ。


 男は、自らが未成年だと言うことになんらの引け目もなかった。


 チートな力が得られるのであれば、異世界で女は抱き放題のハーレムを作ることもできるだろうし、酒池肉林を極めることができるだろう。そしてパチス〇もやりたい放題だ。


「あぁ、良かった。もし香川の未成年でなかったらそのまま寿命として処理しているところだったよー。キミの異世界としての保護者としての私の立場とか、考えなくても良くなるから、チートな能力を与えずにほっぽり出すところだったね」


 主神カーキンはかなりフレンドリーだった。

 そんなフレンドリーな神さまでなければ、チートな能力を与えたりはしないのだろう。


「ほぅ? チートな能力とは?」


「例えば、ステータス・オープンと叫ぶと自分の能力が参照できるところかなー」


「ステータス・オープン」


「あれ? いきなり叫んじゃう?」


 男は、目の前にウィンドウのようなものが開かれることに愉悦の笑みを浮かべた。

 だがそれもすぐに失望に変わる。





「能力値が全て10なんだが……」





名前:ぱちすかすきたろう

種族:人族

性別:♂

クラス:ノービス(novice)

レベル:1

HP:10

MP:10

SP:10

STR:10

VIT:10

DEX:10

MAG:10

INT:10

LACK:D

スキル:なし

状態:普通

称号:香川県民、未成年


 どこからどう見てもチーナな状態とは程遠いだろう。


「そりゃぁ、まだチートな能力を与えていないもの」


 悪びれず女神カーキンは言った。


「そりゃそうか」


「とりあえず、欲しいチートな能力を言ってみて、私が与えられるものであるなら、なんでも与えるわよ」


「例えば?」


「成長力強化とかー、頑強な肉体とか、魔法全適正とか、いろいろー」


「じゃぁそれを」


「えー。おざなりね。まぁいいか」


 女神カーキンが軽く手を振ると、男が目にしていたステータスが変化した。



名前:ぱちすかすきたろう

種族:人族

性別:♂

クラス:ノービス(novice)

レベル:1

HP:100

MP:100

SP:100

STR:100

VIT:100

DEX:100

MAG:100

INT:100

LACK:E

スキル:なし

状態:普通

称号:香川県民、未成年

加護:主神カーキンの加護

保有スキル:

 成長力強化x10

 頑強な肉体

 魔法全適正(4大特性、光闇特性、その他全適正)




「おぉー」


「他には何かない? どうにもありがちなので、面白味がないかも?」


「面白味がないでチートなスキルを与えるのか?」


「そりゃそうよ。例えば、ありきたりなチートスキルがあるネット小説とか、あなたなら読みます?」


「いやーー、読まないな」


「でしょう? この前なんて、『おっぱいもみくだし師』とかネタに走ったら面白かったなー」


「いや、さすがにそれはいらないな」


 なんだそのエロマッサージ師みないたなのは。


 それは面白いかもしれないが、さすがにそこまで振り切れるほど、男は愉快犯的な思考を持ってはいなかった。


「なら、何にする?」


「パチス〇とかどうだろう? あと、成長力強化はその100倍欲しいな。レベルも1からじゃなくてもっと高いところから始められないだろうか」


「んー、パチス〇ねぇ……」


 女神カーキンは男に向かって指を鳴らした。


 すると男の身体が一瞬だけ青く光輝いた。



名前:ぱちすかすきたろう

種族:人族

性別:♂

クラス:パ〇ンカー(pachincer)

レベル:110(MAX)

HP:10000

MP:10000

SP:10000

STR:10000

VIT:10000

DEX:10000

MAG:10000

INT:10000

LACK:E

スキル:なし

状態:絶倫

称号:香川県民、未成年

加護:主神カーキンの加護

保有スキル:

 成長力強化x1000(MAX)

 頑強な肉体

 魔法全適正(4大特性、光闇特性、その他全適正)

 召喚術:パ〇ンコ

 召喚術:ス〇ット

 MPを消費してコインや鉄玉を出す程度の能力


「これでどうだろう」


「おぉ、いいねぇ~」


 ウィンドウを見ながら、うんうんと頷く男。


 そんな男に、女神カーキンは一つだけ留意点を語る。


「一つ注意することがあるのだけれどー」


「何だね」


「ス〇ットのコインはそのまま異世界のお金として使えるけど、パ〇ンコのパ〇ンコ玉はお金に変換できないことかなー」


「なんでだよ! 意味ないじゃないか」


「ほら、現代社会でもパチスロ店の運営と換金を同時に行うと警察署にしょっ引かれるでしょう? 世の中コンプライアンス全盛の時代なのよ。だから『換金』スキルは両存させることは法律上できないんだよねー」


「なるほど」


「『換金』スキルが必要ならパ〇ンコの召喚術を外せばできるけど――」


 男は首をぶんぶんと振る。


「とんでもない!」


「まぁ、『換金』スキルを持っている人外もいるかもしれないから、探してみるといいよ」


「あぁ、そうしてみるよ」


 ちなみに、女神の名前はカーキンといった。


「じゃぁ、そろそろいいかな。我がゲーム世界、西鳩(セイ・ハートオフラインようこそ―」


 女神カーキンは再び指を鳴らした。


 男の姿は、この神々の間から一瞬で消えさる。


「まぁ、余命1時間。がんばってね。香川県民の未成年である異世界転移者さん」


 人と神がいなくなったその空間に漆黒の暗闇が訪れるのだった。







「さあって、次は誰をトラックで轢き殺そっかな~♪」


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