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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
六章 破滅の序曲と鈴の調べ
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二つの戦場、両雄相対す

本日二回行動、二話目です

 

「おい、ソウジ。どういうつもりだ?」

「どうもこうもない、ここから先は通行止めだって話です」

 メル達の元へと急ぐ三人の前にソウジが立ち塞がった。


「私の望みはあの子が長生きする事……なんで家族だけでヴィルマと戦うなんて真似させるのかしら?」

 ミスティアの冷静な問いかけ、だが今すぐ目の前の障害を取り除こうと猛る魔力が彼女の感情を何よりも分かりやすく現していた。


「いやぁ、俺も無謀だ、って止めたんですけどね。全ての『貸し』をここで生産しろって言われて仕方がなくこのような状況になりました」

「そんな貸し何時いつ……あぁ、そういうことね」

 ミスティアはすぐに思い出した、彼女の子供二人をギルドに連れ込んだのは目の前の男だということに。


 理由については納得した、だが本当に行動に移す事には納得していない。


「じゃあ何、全員見殺しにする気?」

「それも仕方がない、彼女達の望みは彼女らだけで勝つことだから」

「さっきから仕方がない、仕方がないと……うるっせぇんだよ!!」

 煮え切らない返事ばかり返すソウジに遂に怒りが爆発したハルクが抜刀、雷となって斬りかかった。


「……俺としてもここであの四人に死なれるのは痛い。『計画が狂う』ってうるさい奴もいる。だけど……」

 ソウジはその剣を軽々と片腕で振るう剣で弾き返す。


「覚悟が決まった人間の邪魔をするなんて事は……俺には出来ない……!」

 ソウジは今にも泣き出しそうに歪んだ顔で無理矢理口角を上げて笑顔を作った。

 ソウジが指を鳴らすと同時に周囲に黒い天幕が二重に降りる。『闇の帳』の二重展開だ。


「だから、彼女らが死んだらそれは俺の責任、まぁ全部俺のせいにしてください」

 一瞬で元の貼り付けたような笑顔に戻る。


「……テメェが何を考えてるか知らねぇがなぁ。こっちにも譲れないものがあるんだよ!!そこを退けよソウジ、退かないなら……」

「メルさんにもウィリアムさんにも返しきれてない恩があるんだよね、だから……」

「私の命はメルのためにあるの。それを邪魔するなら……」

 それぞれ『狼化(フュージョン・ウルフ)』、風魔術の多重展開、『暴食顕現グーラ』と戦闘の準備を終える。


「「「押し通る!!」」」

「……どこで俺は間違えたんだろうなぁ……」

 かたや援護に向かおうと猛る三人、かたや間違いを自覚し、嘆く一人。

 対照的な五人の戦いが主戦場からそれほど遠くない場所で始まった。




 ◇◇◇




「おやおや、お仲間は連れてこなかったのですねぇ」

「私達だけで充分だよ。ここで全てに蹴りをつける!」

 一方、主戦場ではヴィルマ、トリンと向かい合う勇者一家四人。


「……ハハッ、思い上がるなよ?君が最高傑作だったのはあの時の話。今はこうして勇者の血族を題材に更なる傑作がっ」

 生き生きと語るヴィルマの言葉を止めたのは顔のすぐ横を通った雷。

 放ったのはアルバートだった。


「母さんや俺の弟をお前の物呼ばわりするな」

「ふぅん?この出力、速度……記憶を戻して試練を越えたか……クックック。なるほど、自暴自棄になったわけではない、ということか。しかし、だとしても!だ」

 お返しのようにヴィルマはアルバートの足元へと一筋の雷落とした。


「せめて、ミスト嬢くらいは連れてきた方が良かった。彼女一人いるだけで私に勝てる可能性は上がっただろうに」

「もうミストさんに頼りっきりの私じゃない」

「しかし彼女ならついて行くか止めるかした筈……あぁ、なるほど。誰かに足止めを願ったか?この場にいない君の仲間、或いは……人類最強の彼かな?」

 正解。

 ソウジとあともう一人・・に彼女らの足止めを頼んだ。

 家族だけでこの因縁を終わらせるために。


「あぁ、そうそう。シオン青年。先に君の懸念事項を解消しておこうか」

「あ?俺はお前と話すことなんて」

「ユウマ青年、彼は元気にやってるよ」

「は?あいつ何処に、」

「ギリスロンドの王権争い、先日まで私もそっちにいたからね」

 生きてたのか……と呟くシオン。

 でも悪いけど、そんな雑談をする暇なんて無いよ。


「三人とも、準備は良い?」

「あぁ」

「あ、あぁいつでも良いぜ、母さん」

「……問題ない」

 シオンとアルバートは少し動揺が残った返事、突然ユウマ君の生存を教えたのはこれが狙いかな?


「もう少しお喋りがしたかったのですが……まぁ仕方ないですね」

「ここで終わりにしよう」

「それは貴女方の話で?」

「そっちに決まってるでしょ?」

「生憎と、私はまだこの世界の支配者になるという目的が残っている、この世に未練があった方が人間は強い」

 未練……確かに私にはあまり未練はないかもしれない。

 だけど


「未来のために、トリンも世界も救う!!」

「二つの目標を立てるとどちらも半端になる。それをこの場で証明してやろう!!始めから支配者になることだけを目標とした私の勝利という形でな!消えろ!私の過去の最高傑作とそれに見惚れた者達よ!」

 そして主戦場でも、戦いが始まった。

 

さて、いよいよ戦いが始まります

この章の最初の方で言ったけど戦闘は大体書いてあるので早め早めの更新を目標に頑張ります……。

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