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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
一章 ギルドを目指して
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報告‥‥‥?

 主観者 ユウマ・エクスベルク




 この人が全てのギルドのトップであるギルドマスターか。

 てっきりもう少し若い人物だと思っていたがその見た目だけで強さを見誤ったりはしない。冒険者の中には素行の悪い荒くれものも少なくはない。それらを捌けるくらいの実力はあるはずだ。

 ソウジによると今でもAランク相当の力はあるようだから敵には回さないように気を付けておこう。


「さて、ソウジ君。今回現れた魔人について報告を‥‥‥ミスティア君、この音はなにかね?」

 何やら階段をかけ上がる音が聞こえる。しかも複数だ。

「あー、ごめんなさいね。多分ソウジ君が新人推薦をすることをどうやったのか聞き付けたうちのチームのバカが来たわ」


「ソウジ!お前新人推薦したのかぁ!?そいつぁどいつだ!?」

「ちょっ、ハル君!多分今報告中だと思うよ!?」

 駆け込んできたのは銀髪で犬系の耳が生え、腰にレイピアを携えたいかにも賑やかなことが好きそうな男と少し伸ばした緑髪の優男が扉を蹴破るがごとくの勢いで入ってきた。


「ハルクさん、今仕事中じゃないんですか?」

「アリシアとウィリアムに任せてきた!」

「ごめんね~ソウジ君。ハル君が行きたいって言って聞かなくて‥‥‥もうすぐコーネリアもリーダーを捕まえてから来てくれるはずだから」

「メルさんも来てるんですか‥‥‥どんだけ俺に関する情報は安売りされてるんですか‥‥‥」

 そういえば下でも何やら騒ぎが起こってるみたいだ。内容は分からないが大声が聞こえる。


「アリシアから聞いたぞ!お前の師匠としては見に来ないわけないよなぁ?」

「師弟関係だったのは何年前の話だと思ってるんですか‥‥‥?」

「師匠から逃げられるわけないだろ。いくらお前が俺を越えたとしても一生お前は俺の弟子だ!」

「‥‥‥もうめんどくせぇ‥‥‥」

 あ、素の口調が出てきた。


「んで、お前がソウジが推薦しようとしてる冒険者候補か?」

「あぁ、ユウマ・エクスベルクという」

「俺は『鈴のしらべ』所属でソウジの『師匠』のハルク・ウルフェンだ。犬じゃなくて狼の獣人だからな!」

「あ、僕はロイ・フライトソードだよ。それとハル君は犬扱いされるとキレるから気を付けてね~」

 狼の獣人か、珍しいな。このロイという男はハルクの世話係に近い感じか?


「おいソウジィ。お前ってやっぱり男好きだったのか?」

「どうして男の冒険者を推薦するだけでそうなるんですか‥‥‥?」

「いやぁ、そりゃアリシアがソウジがこの新人の事をすごい過保護に扱ってるって言ってたからなぁ。で?実際どうなんだ?」

「うっざ‥‥‥早く保護者来てくれぇ‥‥‥」

「否定しないってことはそう言うことか‥‥‥よし、冒険者新聞に密告したあとにお前の嫁のクロエちゃんに報告しとくかー!」

「ちょっと待て!何でそうなる!?それと勝手にクロエを嫁扱いするな!」

「はぁ?お前まだ抵抗してんの?あんだけ好き好きオーラが出てる子をほっとくとか‥‥‥ないわぁ~」

「ただ任務で助けただけだろうが」

「それで魔導国家からわざわざお前を追いかけて冒険者になったような子だぞ?お前のキャラバンに即座に入ったし‥‥‥しかもあの子に外堀から埋められてるの気づいてるか?」

 なんだ、ソウジって結構そっち方面には鈍いのか。意外だな。


 ちなみにキャラバンとはチームの拡張版のようなものだ。

 冒険者に加えて鍛冶師や商人、リーダーに認められれば一般人も加入可能だ。大体は複数のチームが同盟関係を結ぶ形で出来ることが多いようだ。


「外堀を埋める?そんなことしてるのか?」

「お前のキャラバンの団員。お前とクロエちゃんが結婚したとクロエちゃん自身によって刷り込まれてるぞ」

「はぁ!?あいつら何やってんだ‥‥‥」

「さて、そんな中でお前の男色疑惑が流れればどうなるかな~♪」

 ソウジの頭から何かが切れる音がした気がする。


「クソ師匠が‥‥‥殺す!」

「良いねぇ!やっぱりお前はいくら猫被っても本質はいつまで経っても変わらずに挑発に乗ってくる奴だなぁ!よっしゃ!

 やってみろクソ弟子ィ!」

 な!?二人とも抜刀したぞ!?


「闇属性付与・宵闇斬り!」「雷撃閃!三そぉ!?」

 二人がそれぞれ技を繰り出そうとしたその時、ハルクの後頭部に魔力で出来た矢のような物が刺さった。

 それが放たれた部屋の入り口を見ると青い長髪を後ろで二つに分けて結んだかなり長身の女が弓を構えていた。その傍らにはハルクと同じように後頭部に矢が刺さって地面に伸びている水色の髪の女が居る。


「はぁ、急いできてみたら案の定だわ。またソウジ君をいじってたのね‥‥‥報告中にごめんなさいね、メルを捕まえるのに手こずったわ」

「コ、コーネリ、ア‥‥て、めぇ邪魔すん、なぁ‥‥‥」

「コーネリアか。すまん、こっちも頭に血が上って抜刀しちまった」

「これはだるがらみしたハル君が悪いわ。またヤマの国に調査に行ってくるから今度ゆっくり話しましょう。ロイ君、そこの犬連れてきなさい」

「はーい、ほらハル君行くよ~」

「お、れは、犬じゃ、ない‥‥!」

「はい、また今度‥‥相変わらずあの連中の保護者的立ち位置だなぁ‥‥‥コーネリア‥‥」

 ハルクがまともに歩けずに引きづられていったところを見ると雷属性の応用で麻痺効果のある魔術を撃ち込まれたのだろうか。

 相手の動きを読んでピンポイントに後頭部に撃ち込むとは‥‥‥何気に凄まじい技術だな‥‥‥。


「さて‥‥報告を頼もうかのう‥‥‥」

「そうですね‥‥気を取り直して報告をします‥‥‥」

 ギルドマスターの目元がピクピクと震えている。ソウジも同様だ。


「ていうかなんでミスティアさんは何もしてくれなかったんですか‥‥‥?」

「ハルクを相手にするの疲れる。基本的にめんどくさがりの私がまともに相手にするわけないじゃない。

 同性のメルはしょうがないから相手するけどハルクはコーネリアに抑えてもらうのが一番よ」

「まぁそうですよね‥‥‥はぁ‥‥‥本当に疲れる」

 ハルクが来る前のソウジより何歳か老けた感じがする。


 まるで嵐のような『鈴のしらべ』メンバー複数人との邂逅だった




報告出来ませんでしたね‥‥‥

報告前に紹介程度に書こうと思ったけど楽しくハル君を書いてしまった‥‥‥切りが悪いため分けます

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