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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
五章 運命の紡ぎ手と太陽の覚醒
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旧王都にて

 

『さて、お前ら。意見を聞こうか、あの王様どう思う?』

『『胡散臭ーい(せぇ)』』

『……この前衛バカ二人と同意見なのは癪だが、肯定する他無いな』

『あはは……まぁ私もアイザックさんも最初からそう思ってましたよ』

 ここはギリスロンド王都……いや、最近では旧王都と呼ばれている場所にある城の賓客室。

 ギル・フレイヤでの戦いの後、俺とレイアは再びギリスロンドへと戻ってきていた、新しい人員を三人ほど加えて。

 それはシン、ランゼル、クロエの三人組だ。

 これにソウジとマークを加えれば最強チームの完成だが二人は別行動……というかマークはミスティアと共に本部警備、ソウジは相変わらず何をしているのか分からない。


『すっごい華奢だから魔術師タイプかと思ったらすっごい良い剣持ってるし、なんかちぐはぐだよね~』

『……多分魔術の腕も大したこと無い』

『武器に使われてるんじゃねぇの?知らんけど』

 仮にも王に対する口調とは思えない、が聞かれる心配はない。

 これは全て通信石での会話だ。


『それよりも俺は対抗勢力の方が気になる』

『運命の王ってやつ?多分固有魔術だよね~、私もそっちの方が気になるなぁ』

 この国は大体運命を司る者を頂点に置いていたらしい、だが今王都にいる王はそれを良しとしなかった。

 そのまま行けば王位を継承できたのにポッと出の男に目の前で継承権をかっさらわれたのが我慢できなかったのだろう。


『でも勝てるかな?運命の王さま、使い手は雑魚だけどあの剣は本物だよ?』

『伝承に従う兵士の方が少数派だったらしいからな……俺達が味方してギリじゃね?』

『私の出来る範囲での情報収集の後に計算した結果での戦力差は兵の数での単純計算ですが五倍はありますね。それに加えてこちらには龍の神が宿る剣……かなり厳しい戦いになると予想されます』

 そう、こちらの王は神の力を宿した剣を装備しているのだ、適当に振ればそれだけで敵が死ぬ剣を。

 それを覆せるだけの何かがあるか、そこが勝負の分かれ道だ。


『しょーじきお前らがその辺の有象無象に負けるとは思わん。だが目的を忘れるなよ?』

『第一に戦争の終結。第二に、人の捜索、だよね?覚えてる覚えてる』

『ユウマ・エクスベルク、だったか?』

 元々の目的にプラスして人探しもしなければならなくなった。

 だがソウジの予想だと意外とすぐに会えるらしいのだ。


『それなら自分で見つけに行けば良いじゃねぇかよ。って言ったんだが大事な用があるってんで任されたんだよなぁ』

『最近ソウくんそればっかだよね~、結局まだ一緒に冒険したこと無いもん』

 ソウジを追いかけてここに来たのにソウジは彼女と共に行動をしたがらない、何故なのか詳しく聞いたことはないが何か事情があるのは確か。

 そして原因は恐らくソウジの側にある。


『まぁいい、時が来たら全員仕事に励むぞ。死ぬなよ?』

『おう!』

『了解』

『はーい』

『分かりました』

 そして全員通信石をしまう。


「さーて!何処かにご飯食べにいこ~!」

「うちのリーダーに内緒で経費で落とそう」

「……怒られても俺は知らないからな」

 話が終わると三人は駆け足に近い形で仲良く賓客室を出ていった。




「自由すぎんだろ、あいつら」

「まぁまぁ、あれでも仕事はちゃんとしてくれますし。しかも最強なんですから」

 万能前衛、殲滅力最強、そして時間停止の魔術

 それぞれ違った強さを誇る三人、三人だけでも小国程度なら滅ぼせそうな戦力だが更に上を目指せる、最強の冒険者と本部の呑んだくれ…緊急時の防衛の要がいる。

 しかし、未だ全員が揃って同じ任務に就いたことはない。


『一部で十分だから』『強力な戦力は分散して事に当たるべきだから』と、のらりくらりと避けている最強がいる。


 それが何故なのか俺は知らない。父上も母上もきっと知らない。


「あーあ、俺が集めた最高の仲間、少なくなっちまったな……」

 ユウジ、マイカ、二人ともアイザックが選び、これまで共に過ごしてきた仲間だった。

 欲を言えばまたやり直せないか?再び共に冒険しないか?と問いかけたかった。

 しかし、追いかけた先には生け贄になった二人と巨竜、問答の余地は既になかった。


「大丈夫です。私はいつまでも傍にいますから。父君も母君も、きっと」

 レイアは幼馴染みだ、家族ぐるみでの付き合いで最初から一緒に冒険者になる約束をしていた。

 しかし、故郷が黒龍神によって引き起こされた災害で彼女の両親は亡くなってしまった。

 それ以来彼女も家族の一員のように更に親密になった。


「……あぁ、早く終わらせて帰ろう、皆のところへ」

「はい、この五人で必ず」

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