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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
五章 運命の紡ぎ手と太陽の覚醒
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ギリスロンドの現状

 

「ギリスロンドが年中紛争地帯になってるのは知ってる?」

「有名な話しだ」

「だけどね、最近僕という絶対的な王になる権限を持つ人間が現れた」

 聞けばオーリンはこの世界とは別の世界から来た人物らしい。

 目の前にある煎餅という食べ物もそこでは一般市民にも提供されているもの。

 食べたらかなり固く、歯が折れるんじゃないかと思った。

 ただ、段々と唾液が付いて湿り気が出てくると少し柔らかくなり、食べやすくなった。あまり見ないタイプの食べ物のため、オーリンの元居た世界にも少し興味が湧いた。


「ま、僕の身の上話は今度として……ギリスロンドはこんな言い伝えがあるらしいんだよね……『運命を司る魔法を持つものがこの大陸を治める唯一の王となる』ってね」


「魔法ってのは多分固有魔術の事だよね、だから僕の運命魔術がギリスロンドでの王の証ってなるわけ」

 しかし、それに待ったをかけた者達がいた。


「その名もギリスロンド新帝国派、長いからこれからは帝国派としようか」

 オーリンは懐から地図を取り出し、一つの大陸の東側を指さす。


「ここが帝国派の拠点。というか元王都だね。君が最短距離で中央大陸に帰りたいなら絶対に避けては通れない」

「だが迂回していけば別に行けなくも」

「もうちょっと僕に話させて、まだ終わってないから」

 ユウマも指でルートを示そうとするもオーリンに言葉と指を遮られる。


「次に僕らは伝統に従って僕を王へと担ぎ上げる派閥、ギリスロンド王国派、帝国派(彼ら)からは旧王国派って呼ばれてるけど王国派で良いよ」

 どうせ僕らが勝つんだから、と自信ありげに『旧』を消して名乗る。


「力こそが正義、と伝統こそが正義、のぶつかり合い……しょーじき僕はどっちが勝ってもよかったんだけど負けた方の王は処刑されるってなったら勝ちにこだわるよね」

 と、ここまで語ってから渇いた口を潤すように紅茶を啜る。


「さて、物は相談、というか取引なんだけど……。君に僕の派閥の一員として王権争いの戦いに参戦してほしい」

「……何故俺なんだ?」

「理由としては幾つかあるけど……まずは一つ、君は中央大陸に戻りたい、これはあってるよね?」

「あぁ」

「それには王都を取り戻してちゃんとした船で行った方が確実だよ。君のルートで行っても船は十分なものを用意できない。一か八かの覚悟は安全策が完全に潰えてからにしようよ」

 確かに

 ユウマは自分が一度死んだと思っている、そしてそれは正しい。

 そして今度ばかりは死んだら生き返れないだろう、二度目は無い。とも思っている。


「二つ目、これは詳しくは言えないけど僕の占いでね、勝利には太陽の力が必要なんだ。僕はそれが君だと思ってる、何か心当たりは無いかい?」

 そう言われて思い当たる事柄は一つ、今ユウマ自身が纏っている防御結界だ。

 これはアマテラスのものと類似している。


「……その様子だとあるみたいだね?」

「あぁ、アマテラスという魔剣が使える能力の一つが今俺の身体にある」

「さっきの自動防御だよね?よかったよかった……しかし、アマテラスか……」

「何かおかしいことでもあったか?」

 アマテラスの名を聞いて腕を組んで考え込むオーリン。

 しかし、すぐにパッと笑顔に切り替わり、誤魔化した。


「いや、何でもないよ。ともかく、僕は少しでも戦力が欲しい、君は中央大陸に帰りたい、利害は一致してると思うけど?」

「……」

 今度はユウマが考え込む番となった。

 新興とは言え王国派を王都から追い払った帝国派を相手取ることになる。

 対して味方は大勢とは言えない兵士達と掴みどころの無い少年王。


(上手く行けば国の後ろ楯を得られる……か……)

 結局は打算だ。

 大陸が違えど一国の王に恩を売ることができる、それに目が眩んだわけではないが決め手となったのはそこだった。


「協力しよう」

「交渉成立、だね」

 二人は握手を交わす。

 お互いの目的のために。




 ◇◇◇




「『太陽』と『死神』が道を切り開く……か……」

 太陽は見つかった、予想とは違った形で。


(アマテラスは日本神話……しかし、この世界は北欧神話が原点だとして……ソールさん辺りだと思ってたんだけどなぁ……)

 少年には他にも不可解に思うことが山程あった。

 異世界から銃器を持ち込んだが聖教国には不気味すぎて攻め入る気にもならなかったのだ。


 何故なら………の名がなかったから。

 少年の主とも言える存在の名が無かったから。


(……一体、いつからヴァルハラの主神はゼウスになった?)

 いくら調べようとゼウス様の偉大さしか伝わってない。

 黄昏に全て滅ぼされた筈の世界にもゼウスが君臨し、国を、人間を、動植物を創っている。


 そんな万能な存在、神の中にもいない。

 彼、彼女らは意外と不器用なのだ。

 自らの得意とすることしか出来ないのだ。


(だとすると……やはり創世の神が何かした……か……)

 こんなこと今考えるべきじゃない、と思考を切り替える。

 まずは今日、明日を生き延びなければならない。


「期待してるよ、僕の太陽。ユウマ・エクスベルクくん」

 

ちょっとメタ発言連発のキャラが出来上がっちゃったなぁ

異世界転移者&神に対する知識多&運命魔法とかいう属性過多……

でも、この章のメインキャラの一人なのでほぼずっと出ずっぱりです、よろしくお願いします

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