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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
五章 運命の紡ぎ手と太陽の覚醒
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転生

申し訳ない昨日別作品をこっちに投稿してた

そしてお待たせしました、新章、スタートです

 

 目が覚めると目の前には広大な青空が広がっていた。

 そこは何かが焼け焦げた匂い……そうだ、これは父が使っていた銃の放たれた後に漂う匂いだ。


(手、足……問題ない。ここは何処だ……?)

 起き上がり、周囲を見れば建物が崩壊した跡、何かに頭を貫かれた人の死体の数々。

 まさに地獄といった景色が広がっていた。


(地獄ならとうに見た……が、こっちの方が生々しいな……)

 未来の俺の言うことを鵜呑みにするならあれが『終った世界』『死んだ世界』 所謂地獄と呼んで良い場所だろう。


「『あら?まだ生きてる人間がいたの?』」

「っ!?」

 背後から嫌なノイズがかかったような声が聞こえ、その場から飛び退く。

 そしてその判断は正しかった、そこには巨大な赤黒い鎌が刺さっていたからだ。


「何者だ?」

「『フフフフ、それはこっちのセ・リ・フ♪声をかけたとはいえ並みの人間だと避けれない速度で攻撃したのよ?残党狩りなんてつまらない仕事だと思ったけどアナタ、面白そうね?』」

 声の方向を見るとそこには漆黒のドレスを纏った赤いショートカットの髪の少女が瓦礫の山に座っていた。

 彼女の手にはいつの間にか地面に刺さっていた赤黒い大鎌が戻ってきていた。


(空間魔術……?いや、そんな魔力は感じなかった。だとしたら固有魔術か?)

「『レディをあまりジロジロ見ないの♪いくらワタシが魅力的だからって良くないわよ?』」

「っ!?クソッ!」

 大鎌が泡立ったかと思えば大量の短剣に変化し、ユウマの頭上から降り注ぐ。


「…『ダーク・』」

「『遅いわ』」

「『ランス』!」

「『サヨウナラ♪』」

 飛び退き、闇の槍を産み出そうとするも既に背後に回っていた彼女は再び大鎌を振るう。

 それは闇の槍を軽々と消し、ユウマを切り裂くかに思えた。


「『……あら?』」

「これは……アマテラスの『天岩戸』?」

 透明な膜が鎌の一撃を完全に防ぎ、ユウマには届かなかった。


「『アハハハッ!面白い♪切り裂きがいがあるわね!?』」

 それを見て口が裂けそうな程の笑みを浮かべ、彼女は鎌を膝で折って二つに分ける。すると二つに分かれた鎌は再び泡立ち、二対の剣へと変わる。


「『いつまで耐えれるか、な゛っ!?あっ…ぐ……』に、げて……、」

 再びこちらに力強い踏み込みで迫る彼女が急に頭を抱えて苦しみだし、ノイズがかった声ではない別の声でユウマを逃がそうとする。

 見れば赤い瞳孔がキレイな白銀になっていた。


「『ふっざけんじゃないわよっ!こんな楽しい相手っにが…すわけっ!』早く!もう抑えきれないっ!!」

「っ!すまない!」

 俺は彼女の促す通り、みっともなく逃げた。

『天岩戸』のような防御膜があったとしても通じる攻撃手段が無ければ意味がない。いつかは破られ、ユウマは死ぬだろう。

 一度拾った命を無駄にする気はない。



 ◇◇◇



「はぁ……はぁ……はぁ……ここまで来れば大丈夫か」

 崩壊した街から離れ、森の中に入った。近くに強力な魔力反応はない。


(しかし、あれは何だったんだ……固有魔術にしても異質な気がする……)

 武器を魔力で産み出す魔術。しかし、ドロシーのような剣に限った物ではなく見ただけで三種類に変化した。恐らくはまだ変化を残しているだろう。

 そして身に纏う魔力量も段違い、魔力量だけで言えばドロシーやミスティア並みだ。


 答えの出ない事を考えている内に少し開けた場所に出た。

 そこには鎧を纏った兵士のような者が数十、いや、百人以上居た。


「誰だ、貴様は」

 と、見つかった。

 ひとまず誤魔化そうとする。


「あっち側の崩壊した街の生き残りだ。食料や水を分けて貰えないだろうか?」

「……どうする?」

「密偵の可能性もある、上の指示をあおごう。おい貴様、数分待て」

「はい」


(……逃げた方が良さげか……)

 かなりピリピリした雰囲気、戦争中なのだろうか?自分達の仲間かどうか怪しいものに対して疑心暗鬼になっている。

 と、話し合いが終ったのか、先ほどの兵士が戻ってきた。剣を右手に持って。


「貴様には死んで貰う、こんな状況で我々の野営地に迷い込んだ自分を恨め、良いな?」

「ちょっと待っ」

 ユウマが喋る前に後ろから迫った兵士が首へと剣を振るった。

 しかし、防御膜に阻まれ、その剣は折れる。


「なにっ!?」

「はぁ……逃がす気は無かったってことだな。分かった分かった。俺はいなくなる、それで解決だな?」

「貴様……やはり新帝国派の密偵か!」

「何も話を聞かず斬りかかってきたのはそっち「待ってー!そのケンカストップ!!」」

 言い合いの中、割り込んでくる一人の子供。

 すると、その子供に向けて全員片膝をついて頭を下げる。


「この人は多分僕の予言の人だよ、丁重に扱って?」

「「「承知しました!我らが王よ」」」

(おお、急に態度が変わった。ん?王?)


「いやぁ、ごめんね?今僕に従ってくれてる皆、すごいピリピリしててさぁ。でも君が来てくれたなら安心だ!こっち来て?」


 転生した先で出会ったのはまだ十にも満たないであろう見た目の少年王だった。



 

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