元聖騎士との攻防3
注意!リアルタイムで見てる人は「緊急召集」のリュート主観を見ておいてください。
場所の描写少し追加しています。(利用するかは分からない)
主観者 ユウマ・エクスベルク
魔人ヘクトが俺達の目の前まで迫り、剣を掲げた。しかしその剣は俺達に向けて振り下ろされることはなかった。ヘクトの背後から影が強襲し、それの対応を強いられたからだ。
「む!影狼か!厄介な」
剣を影が地面に潜り込んだ場所へ振り下ろすが全く当たらない。しかし影の攻撃もヘクトには通用していないようだ。その時俺達の拘束が何かに切り刻まれた。
「無事ですかユウマ」
俺の影から声が聞こえる。
「その声、クロか?」
「えぇ、主は少し時間を必要としているようです。私も協力しますのであの魔人の足止めをしましょう」
むろん、あなた達の命が最優先ですが、と付け加えクロはそう言うと影から出て
「な!ソウジさん!?」
「いや、リュート髪の色とか色々違うぜ。これは変化だろ」
ソウジと似た容姿で身長と同程度の禍々しい鎌を持った男が現れた。そしてシュバルの言うとおり髪の色が黒だったり目付きが鋭かったりと差違が多少ある。
「ほう、大鎌とは変わった武器を使う影狼だな」
興味深そうにヘクトはこちらを観察する。
「私は少し生まれが特殊でしてね。他の人化出来る影狼と違って短剣ではなく大鎌を授けられているのですよ」
その言い方だと影狼の人化は普通ということか‥‥‥
「なるほど、では少しは期待させてもらう、ぞ!!」
猛烈な勢いでヘクトが迫る。しかしクロは一切慌てることなくその方向を見て振り下ろされた剣を横にずれて回避し、大鎌をヘクトの左腕側、つまり利き腕ではない方向から凪ぎ払うように鎌を振るう。ヘクトはそれを剣で受けるが遠心力がかかった一撃に数メートル吹き飛ぶ。
「む、ならば!」
ヘクトは左手をクロの方に向けて
「シャドウ・アローズ!」
闇属性の矢を複数放つ。しかし、クロは鎌をそのまま振り回し続け全て叩き落とし続ける。
「何!?」
「何ですか?この豆鉄砲は!」
あっという間に鎌が届く範囲まで距離が縮まりそのまま首を落とそうと頭部めがけて斬り上げる。
「くっ!」
ヘクトは思わず下がり、様子を伺う。
(なるほど、振り回し続けることによって遠心力がかかり続け、どんどん止められなくなっていくということか)
大鎌という武器はその大きさから扱う人物はそんなにいない。そのため熟練した大鎌使いを相手にすると苦戦することが必死のようだ。
「どうしたんですか?魔人ヘクト。私程度に苦戦していては主になど勝てません、よ!」
大鎌を振り回し続けながらヘクトを追いかける。
「いや、失礼した。どうやら我は所詮はただの魔物と貴様を侮っていたようだ」
そう言うとヘクトは下がるのを止め、
「本気で相手をさせてもらおう」
その魔力を解放し、
「ダークネス・ブースト!」
体に纏い、自身を強化した。追い付いたクロが大鎌で凪ぎ払おうとするが
「はぁ!!」
「ふんっ!!」
大きく金属音が響き鎌の回転が止まる。
「こうして鍔迫り合いに近いかたちになれば手数は減るだろう?」
「正解です。ですが、まぁ問題ないです、ね!」
クロは大鎌を引いて瞬時に近づき、魔力を集中させた拳を放つ。
「魔力撃!ブラック・ブロー!」
それは魔力撃と呼ばれる魔力を使った技だ。これは魔力が少ないものでも物理と魔術によって同時に攻撃することができ、熟練すればかなり高い威力をだせる。しかし、
「良い拳だ、だが我には通じない!!」
魔力を勢いよく全身から放ち、クロを吹き飛ばす。
「ぐっ、さすがは千年前の最強の人間。やっぱり私では勝てませんか」
「我は今となっては魔人だ。もっとも、油断しきっていた状態ならば結果は変わっていたかもしれないが」
苦い表情のクロに向けてヘクトは剣を構え、
「終わらせるとしよう」
そう言い、黒く目に見えるほどの強い闇魔力を周辺に広げる。
(マズイ!またあの見えない斬撃が来る!)
もしかしたら俺達を先に殺しに来るかもしれない。無駄かもしれないが全身に力を入れて剣を構え、防御の体制を取った。
「まぁ時間稼ぎは十分でしたよね?後は頼みますよ‥‥‥我が主」
疲れた表情でクロがそう言うと
「えぇ、よく頑張りました。クロ」
「縮地剣撃!」
「空間魔術『ディレイ・フィールド』起動!」
ヘクトの宣言と同時に何者かが放った魔術により、ヘクトの周りだけに特殊な結界のようなものが張られ、普段のヘクトと変わらない速度でクロのもとへ斬りかかった。そしてそれを紺の影が遮った。
「やはり生きていたか。だが貴様‥‥‥何をした?」
「さぁ?とりあえずあなたは」
現れた最強は笑顔で
「ここで退場していただきましょう」
そう宣言した
さぁ反撃の狼煙をあげろぉ~!
今回ちょっと短いけど許して(クロに関してもそのうち掘り下げますから)