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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
四章 ヤマの争乱
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死の記憶 ヴィルマの場合

 

 初め見たときは矮小な存在だ、と感じた。

 同時に『何故このような男が『強欲』に選ばれた?』とも考えた。


 その答えはすぐ、目が合った瞬間に出た。


 私の知らない未来

 白龍神の力でも見えない少し離れた未来

 全てを支配し、終焉を迎えた世界で彼ともう一人の男と争ったであろう未来


 そう、ヴィルマは初めて自分が支配者となった未来を見たのだった。


(……これは白龍神でも見えない先の未来。くっくっく、未来の私は支配者の力を勝ち取ったのか!!)

 確定はしていないかもしれない、だがこれほど明確なイメージが流れ込んでくる事は白龍神の力でもなかった。

 それはただ数多ある未来の幾つかの可能性を予想するだけの力なのだから。


 よって布石を打った。無論この場で生き返らせて支配下に置くことも考えたが、いや、待てよと。


 あの未来では私と彼は敵対していた。ここで余計な手出しをすれば未来が変わってしまうのではないか?と


 白龍神は運命と因果を見る龍。彼には呪いのように死の因果の糸が大量に絡んでいた。


 歴戦の猛者と呼ばれる者がいる。それは幾つもの死の可能性を乗り越え、今日まで生き残ってきた者達だ。

 その者達でさえ糸は下半身に絡み付くのみ。


 だが彼は違った。全身に、組まなく、それも意識して因果を見る目を抑え込まなければ彼自身の姿を直視できない程に。


 一体どんな修羅場を乗り越えてきたのか、それとも前世か何かで支配者、もしくは神にでも呪われたのか。

 これほどヴィルマが他人の人生に興味を持ったのはミスト・シルヴァリエ以来だった。


 彼とはまた会える気がした、口約束でもしてるのとしてないのとではいきなり剣を構えられる確率も話ができる確率も違う。

 ユウマ・エクスベルク、彼の名を忘れないように自身の脳に、心の臓に刻み込んだ。


 彼を刺した後、雑魚を二人ほど処分し、目的を果たすために爆風で舞う煙の中を闊歩する。


 全ては自身が支配者となるために。




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