来襲する絶望
短い、けど近日中に次出します
「ユウマ!お前は下がってろ。俺が終わらせる」
「……わかった。俺は二人の怪我の具合を見てくる」
「頼んだ」
ユウマが剣を納め、離れていく。
一つ大きなため息をついた後に目の前で跪く父親を見つめる。
「馬鹿な……上位精霊と強欲の力を借りたとは言えたったの二人の人間ごときに我が……負ける?」
いや、正確にはこれは父親ではない、しかし中には必ずいる。
「敵の数を間違ってるぞ?少なくとも俺とユウマだけじゃあ勝てなかった。お前の敗因は雑魚だと侮った人間をさっさと殺さなかったことだ」
エリンは死んでしまった。しかし生き残ったシュバルとクロードの援護によってこの結果になった。
「分かったらクソ親父を出せ。憤怒の魔人!」
「……もう出てこぬよ。我が精神を食らったからな」
「っ!!」
リュウマの胸ぐらを思いっきり掴み、締め上げるように持ち上げる。
「お前、契約者を食らったのか?そんな事をすれば存在が消えるぞ?」
「元々こういう契約だ。『どんな犠牲を払っても中央大陸を支配する』とな。少し我が精神を弄らせて貰ったがな」
憤怒の魔人によれば元々リュウマはヤマの国の現状が気に入ってなかった。
それが中央大陸が原因だと分かってからは力を求めだし、そこを憤怒の魔人に利用されたのだった。
「……クソ親父が戻ってこないならこの体ごとお前を焼く。それでこの戦争は終わりだ」
「あぁ、終わらせるがいい。敗者に死に方を選ぶ権利はない」
リュートは火傷を負った右腕をリュウマの首から外し、炎を集中させる。
「おやおや、これは傑作だ。憤怒の魔人が負けてるじゃないですか」
突如拍手と共に半笑いで発せられた声が響く。
直接脳内に聴かされてるような不気味な感覚で。
「やぁ、こんにちは。冒険者ギルド本部の諸君。私はいずれこの世界の支配者になる男だ。覚えておくといい」