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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
四章 ヤマの争乱
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見える世界の違い

主人公サイドに戻るにあたって時間を整理

東側諸国→戦闘開始くらい

ヤマの国→城で戦闘開始くらい

ギル・フレイヤ→八岐大蛇召還くらい

という状況から主人公達が動き出します(無論、このあちこち攻められてる状況を知らぬまま)

では、本編をどうぞ

 

「ちっ!小僧共!付いてこい!」

「そうは行かないなぁ~」

 マークの目の前で五十センチ程度の黒い筒のような物が破裂し、五メートルほどの高さの巨大な影が現れる。


「三人とも久し振り~、元気にしてた?」

 そして俺達の背後には死んだはずの人物、ドロシー・エル・フェクターが立っていた。


「囲まれたか、おい、背中は任せるぞ」

 マークが背負う大剣を両手で構えた先に現れたのは二足で立つ獅子に竜の翼が生えた見たこともない巨大な魔物だった。


「ふーん、こんなの用意してたんだ‥‥‥まぁ私には関係ないけどっ」

「ドロシー、生きていたのか」

「うん、騙してごめんね!でもシオン君が悲しんでくれて私は嬉しかったなぁ~」

「あぁ、お前一人も守れない自分が情けなかったよ‥‥‥んで、これはどういう案件だ?事と次第によっては‥‥‥」

「ちょっ、シオン!?」

 シオンが腰に携える剣をドロシーに向けるとそれに驚いたアルバートが立ち塞がる。


「どけ、アルバート。あいつは今のところ敵だ」

「落ち着けよ!ドロシーさんが理由もなく俺達の前に現れると思うのか!?第一、シオンとドロシーさんは友達なんだろ!?」

「恐らくは親友、の方が正しい。だが今はそんなの関係ねぇ。死を偽装してまで雲隠れした人間を怪しむなって方がおかしい」

 アルバートは感情、シオンは理屈に従って敵対と話し合いをそれぞれ選んだ。


(さて、俺が選ぶべきは‥‥‥っ!?)

 二人を見つめるドロシーの手元に注目すると少しだけ灰色の魔力が滲み出ているように見えた。

 灰色の魔力は前に見たことがあった、冒険者の誰もが使う空間収納を開くときに。


「二人ともそこから離れろっ!空間魔術が来るぞ!」

「え?」

「何っ!?」

 二人とも何も感じていない様子で声に反応し、一瞬俺が間違っているかのように感じたがドロシーの片目がつり上がった事から正しいと判断した。


「‥‥『空間転移テレポート』!!」

「ちっ!」

 咄嗟に俺はシオンとアルバートを押し退け、その範囲と思われる場所から無理矢理離れさせた。

 その結果俺は空間魔術に巻き込まれ、何処かへと飛ばされていく‥‥‥。




「‥‥‥ここは」

 目の前には夜と見間違えるほど黒い天井周囲を見渡しても黒一色で足の踏み場があるかどうかも分からない場所だった。


「うーん、君を転移させる気なかったんだけどなぁ‥‥‥」

「っ!!」

 声の方向から飛び退き、剣を向けるとそこには腕を組んで考え事をしている様子のドロシーが浮いていた。


「ねぇ、君さ。もしかして魔力の状態からでも使われる魔術の属性分かるの?」

「‥‥‥それの何がおかしい?」

 前までは魔力が魔術という形になるまで分からなかったが魔人と話した後、魔力に属性特有の色があることを理解した。

 しかし、これは皆同じ景色が見えている筈。

 何らおかしなことではない。


「なるほど‥‥‥だから私が限界まで隠蔽した空間転移が見破られたんだ‥‥‥。うん、解決したっ!じゃあ君は君の行くべき場所に戻してあげるね」

「あくまでもシオンとアルバートの相手はあんたがするって訳か」

「そうだね、あ、でもここだけの話。何も君達の邪魔をしたい訳じゃないって事だけ覚えてて欲しいかな」

 邪魔が目的ではない‥‥‥?何か必要なことなのか?


「それじゃあ君の戦場にいってらっしゃいっ!健闘を祈ってるよ」

「‥‥‥ギル・フレイヤで会ったあんたを信じるよ」

 この何もない場所で空間転移に抗うことなど容易ではない。

 少なくとも彼女並みに空間魔術が使えなければ不可能だろう。

 ならばその言葉を信じるしかない、ギル・フレイヤで出会ったドロシーは少なくとも二人に害意をもたらすような存在ではなかったから‥‥‥。


 次に目を開けたときには明るくなり始めた空が目の前にあった。

 転移した先はギルド本部の入り口だった。


「俺の行くべき場所‥‥‥か。望むところだ」

 あの音の真相を探るべく、俺はギルド本部の中へ向かった。








「‥‥‥素直に行ってくれたね」

 まさかの事態だった。すぐに二人を転移させてこの戦争の影で蠢く存在の動きが落ち着くまで私が相手をするつもりだったのに初手で完全にノーマークだったユウマ君に邪魔をされるとは思わなかった。


「まさか『魔力眼』の持ち主だったとはね‥‥‥」

 魔力眼とはその名の通り眼に特殊な魔力が宿っており、魔力の属性を色で識別出来るようになるというものだ。

 ドロシーはそんな眼ではないので詳しくは知らないが文献には火は赤、水は青などと言った感じに見えると書いてあった。


「まぁとりあえず二人を転移させてっと」

 ドロシーは自らが作った空間とシオン達の居る空間を無理矢理繋げて視認し、転移魔術を使ってこちらへと飛ばす。


「なっ!」

「ユウマっ!何処へ行ったっ!?」

 二人の様子を見て少しだけ残念に思う。

 まさか勇者の血筋たる二人よりも魔力眼があるとはいえ一般人であるユウマよりも冷静さを欠くのが早いとは思っていなかった。


「はいはーい、二人とも私の空間へご案内~」

「ユウマは何処へやった?」

「彼は私よりも相応しい相手がギルド本部にいるからそっちに行ってもらったよ。二人はまぁここでゆっくりしていきなよ。必要ならお茶も用意してあげるよ?」

 シオン君に睨まれる。

 いいね、その強い目。ゾクゾクするよ。


「アルバート、もうドロシーと戦うことから逃げねぇよな?」

「こうなっちまったら早く脱出したいからなぁ‥‥‥ごめんなさい!ドロシーさん!」

 アルバート君も剣を抜く、それを見て私も剣を魔術で生み出して軽く構える。


「さぁ、少しの間私と遊ぼう?」

 そして魔術と剣術が入り乱れる戦いが始まった。



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