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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
一章 ギルドを目指して
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元聖騎士との攻防1

 主観者 リュート・エクスベルク




「散れ!ファイア・ディケイ・バレット!」

 俺は魔人に向けて十発同時に炎の弾丸を放つ。

 しかし、魔人は意にも介さず全てを剣で凪ぎ払った。


「マジか、よ!」

 隙を突こうと剣を振るったが当然止められる。


「ほう、あの一瞬で十発も炎の弾丸を放ちその隙を突くか。なかなかやるものだな‥‥‥だが」

 魔人の乗る馬が俺を蹴り飛ばそうと足を振り上げる。


「ッ!!くっそ!」

 即座に下がる。やっぱり俺一人じゃこんな化け物を相手に出来るわけがないか。なので


『エリン!クロード!シュバル!俺が正面から相手をする!お前らは隙を見て奴に攻撃しろ!安全重視でいい!』

 通信魔術は口を開かなくても発動できる。それを利用して連携を取る作戦に出る。数の有利を利用しなければ全滅する可能性が高い。


『分かったわ!クロード!とっておきで行くわよ!二人も頭にいれておいて!』

『はいよ!シュバルはリュートの補佐してくれ!お前が一番あれに近づかれても死ににくいはずだ!』

『おいおい、俺でもさすがにあの剣に当たったら再起不能になる自信あるぜぇ‥‥‥?まぁお前らが食らうよりかはマシかもだが』

 話し合いは終了だ。とっておきのことも頭に入れつつ


「アース・ブースト!さて、まだまだ行くぜ!」

 土属性の身体強化魔術を自分にかけてまた魔人に斬りかかる。


「言葉を交わした様子はないというのに連携をしてるようにみえるな、まぁいい」

 幸い魔人は通信魔術には気づいていないがそう話ながらも俺の剣撃を軽く受け止め続ける。こちらは両手持ちで斬りかかってるのに向こうは受け太刀で片手だ

(悔しいが力の差が目に見えてるな‥‥‥だけど!)


「おらよ!」

 シュバルが背後から巨縋を振り下ろす。しかし魔人はそれを素手で受け止めた。


「何だと!?」

「なかなか良い連携だ。しかし」

 魔人はシュバルを俺の方向へ振り回し、その手を離す。


「力が足りないな」

「ぐおっ!」「うぐっ!」

 二人で吹き飛ばされる。


「さぁ、次の手は何だ?」

 魔人にとっては少し魔力を解放しただけだ。だがリュート達にはとてつもないプレッシャーがかけられた。


「素手で防ぐとか反則だろ‥‥‥」

「まだ二人が準備してる。それまで粘るぞ!」

「分かってるよ!グランド・スピアーズ」

 シュバルは地面に手をつきトゲのように魔人の前で隆起させる、だがこれは恐らく馬が防ぐから撹乱にもならないだろう。

 これは俺が召喚魔術を使うための時間稼ぎだ。


「顕現せよ!全てを業火へと誘いし上位精霊。イフリート!」

 炎を纏った筋骨隆々の風貌の男がその声に応じ、現れる。


「我が主よ、俺を呼んだということはかなり厳しい戦いだな?」

「あぁその通りだ!目の前の魔人相手に勝算はあるか?」

 男はシュバルが土魔術で抑えようとしている魔人を見た。


「‥‥‥すまない、俺でも時間を稼ぐので手一杯になると見える。代償はなんだ?」

「俺の現在の魔力の半分だ。いつもより多く払う」

「了解した。出来る手は尽くそう」

 そう言って俺から魔力を吸収し、イフリートは魔人とシュバルの攻防に介入した。


「ほう、上位精霊か。面白い」

「メガファイアボムズ!」

 イフリートは接近しきる前に着弾するとメガファイアと同等の威力の爆発を起こす炎弾を数発放つ。これは斬ったところで多少はダメージを負うはずだ。


「ブラックホール」

 しかし、魔人は闇、空間複合魔術を自らより少し離れたところに発動させる。これはその名の通り宇宙にあるというブラックホールのように全てを飲み込む重力の渦なのだが

(なんであの魔術を遠隔発動出来る奴が三千年前に居るんだよ・・・!)

 そう、未だに誰も自分の目の前に発動させることしか出来ずに、コントロールを間違えば自分も飲み込まれるという自滅覚悟の魔術となっている。三千年前は今よりも技術が発展してたのか?


『リュート!準備出来たわよ!』

 よし、俺達が出来る最強の魔術の準備が出来た


『やっとか、じゃあ3カウントで発動させろ!』

『了解!』

『シュバル!聞いてたな?』

『もちろんだ、助かった‥‥‥』

 まぁそう言いたい気持ちも分かるがこれが通じない場合も考えて気を抜いてもらっては困る。


『全員これ食らわせても油断はするなよ?』

『したくてもできねぇ』

『同じく』

『私もよ』

 よし、大丈夫だな。


『3!』

 イフリートには最後まで撹乱してもらう。ホント、頼りになるよ。

『2!』

 全員想像の最終準備を始める。

『1!』

 まずはエリン

「雷、光複合魔術!」

 次にクロード

「水、闇複合魔術!」

 そしてシュバル

「土魔術!」

 最後に俺

「炎、風複合魔術!」

『0!行くぞ!』

「「「「セブンエレメント・バースト!!!」」」」

 魔人の真上に七属性全ての魔術を放った。


「なに!?」

 間髪入れずにそれを落とす。

 これが俺達が四人で考えた七属性複合魔術だ。

 魔術適正の低いシュバルは土魔術の一属性のみ、クロードとエリンはそれぞれ闇と光が得意だが時間をかけることによって複合想像を安定させる。そして俺は十八番の炎魔術と次点の風魔術を咄嗟に発動させる修練をし、完成させたものだ。

 これがなければ神格種には勝てなかったし、ここまで早くにAランクには上がれなかっただろう。そう考えるとまだまだ力不足だったかもなぁ。

(頼むから少しはダメージ食らっててくれ‥‥‥!)

 これ以上の火力は出せない。言ってしまえばこれで無傷ならば本格的に勝ち目がない。

 着弾点には未だに土煙が舞っている。みんなその場所を固唾を飲んで見ている。


「ふっ」

 何か聞こえた気がした。しかしまだ幻聴かもしれない。


「ふっふっふっふ」

 やはり聞こえる。そうか‥‥‥


「なかなか面白い魔術だったぞ!長い戦いの時を経て魔人に身を堕としていなければ死んでいたかもしれない!」

 どうやら聖騎士だった時の奴になら通用したかもしれないようだ。だがそれは三千年前の話だ。魔人となっている彼にはほとんど傷らしきものは見当たらない。


「存外に楽しめたぞ。貴様らの名前は覚えておこう。名乗るが良い」

 どうやら名前を覚えてもらえるらしい。だがその時


「その必要はないですよ、ライトニング・スピアーズ!」

 光の針が大量に魔人のもとへ飛んでいく。


「増援か、まぁ良い。我を楽しませてくれるのならな!ブラックホール!」

 さっきと同じように黒い渦で魔術を防ぐ。

「今ですよ。ユウマ」

「ブルァァ!?」

「む、馬狙いの陽動か!?」

 黒い短髪の青年が魔人の背後から馬の脚を切り裂く。

 というか今ユウマって‥‥‥


「兄さん、久しぶり」

「ユウマ!?それにあの人は」

 紺の長髪に刀って‥‥‥

 もしかしたら俺達は生きて帰れるかもしれない。

 いや、帰れるだろう。ギルド最強の冒険者がなぜか弟と共に現れたからだ。


さて、次回ゾディアの本当の名前が明らかに!

まぁ想像ついてる人が大半でしょうが

追伸-数字の表記は私のしっくりくる表記で行きますので特別統一はしてないです。

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