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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
四章 ヤマの争乱
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五代目勇者

さて、筆‥‥‥指が進んだため一気に二話書いたけどどうしようか‥‥‥

 

「いやぁ、噂は聞いていたがやはり君は私の最高傑作だよ!中央大陸最大勢力と言っても良い冒険者ギルドのナンバーツーチームのリーダーになっているとは、それに私に勇者の子供という新しい研究対象を用意してくれて‥‥‥この件に関しては君を逃がしてしまったことで得をしたと言っても良い!!」

「‥‥‥黙って」

「あぁ、君にも礼を言わねばならないな!ウィリアム。君も私と同じくこの最高傑作に見惚れて子孫を創るに相応しい母体だと判断したのだろう?」

「‥‥‥あ゛?」

 メルとウィリアムが怒りの視線を向けているにも関わらずヴィルマは嬉しそうに続ける。


「だってそうだろう?私だってこんな傑作いつまでも傍に置きたかった。婚姻や性行為の結果産まれる子供も相手を縛り付ける理由になるモノだ。君も私と一緒だよ、五代目勇者、ウィリアム・クロノ・フュンフ!!」

「‥‥するな」

「うん?反論があるなら大きな声で言いたまえよ」

「お前みたいなクズと一緒にするなっ!!」

「ハハッ、一緒だよ!?君も私も彼女を自分の傍に置きたくて理由を創った一人の男に過ぎない!!」

 ウィリアムが地面をえぐりながらヴィルマへと斬りかかり、ヴィルマはそれを軽々と片腕に握る剣で防ぐ。


「だが私も君も一人の男としては強すぎた!かたや支配者の器である私、かたやギル・フレイヤ発祥から受け継がれてきた魔を討つ強大な力を持った勇者!もはやこの出会いは私と君が力を得た瞬間から決まっていた運命の出会いだ!!」

「そんな望まぬ運命なんて必要ない!!」

「君の意見など運命は聞き届けない!支配者の器たる私にしか運命を変えることなど出来はしないっ!!」

 激しい剣撃の中の言い合いはこれまた激しいものだった。

 いつの間にか蚊帳の外に置かれたコーネリアは何が何だか分からなくなっていた。

 だが一つだけはっきりしていることがある。


(あの男がメルとミスティアがゼウスブルートから逃げることになった要因ね‥‥‥)

 隙を見て矢を放とうとするがその度に何故か目線が合い、躊躇ってしまう。

 そのため魔物を邪魔するのに集中していたがそれも限界が近づいていた。


(麻痺に耐性がついてきてあまり止めれなくなってきたわね‥‥‥)

 早々にあの男か魔物かに集中して殺しきる必要が出てきた中、遂にウィリアムから指示が出る。


「メル!コーネリア!あれ(・・)を使ってあの男を殺すぞ!」

「分かったわ」

「うん」

 だが男はそれを無視し続ける事はなかった。


「おっと、何をしようとしてるかは知りませんが‥‥『マスター・ドミネイション』!!」

「あぐっ!!」

「メル!」

 ウィリアムの代わりにメルがヴィルマへと斬りかかるのを魔術によって阻止される。


「くっくっく、何年経とうとも君が私の最高傑作であり実験体であった事実は変わらない!以前よりも強力になった支配魔術の味はどうだ!?‥‥‥何が可笑しい?」

 ヴィルマは全身を見えない何かによって拘束され、身動きが取れないメルに近づいて問いかけるがメルが笑ってるのに気づき、訝しげな表情へと変わる。


「ウィリアム!!」

「あぁ、行くぞ!!‥‥勇者魔術!『勇者の(ブレイブ・)協奏曲(コンチェルト)』!!」

 ウィリアムが魔術を唱えると同時にヴィルマには三人が光の筋で繋がるのが見えた。


「はぁぁぁぁぁっ!!」

「っ!なるほど、そう言うことですか」

 そしてその筋を通って二人から力が流れ込んだメルはヴィルマの支配を無理矢理振り払い、ヴィルマへと斬りかかった。


「私の支配もまだまだ甘い。それにしてもこれが勇者が最強たる由縁、魔力をリンクさせる魔術ですか‥‥‥」

「そんな簡単な説明で済む代物じゃねぇよ」

 そう言い放つウィリアムは雷の槍を複数発生させてメルごとヴィルマを攻撃しようとしていた。


「ほう、君は私を殺すためなら愛する者の背中に魔術を放つのか?」

「これで殺すのはお前だけだっ!‥‥『シャイニング・ランス』!!」

「『白龍神の幻光』」

 槍をヴィルマは魔術で軽々と避け、残っていたメルに向けてそれは降り注いだ。


「ほらこの通り。やはり私には当たらない‥‥‥さて」

 余裕の表情で移動した先で両手をブラブラと適当に振っていたが心の内では今の攻撃に違和感を感じていた。


(私の予想では恐らく‥‥‥)

 槍が降り注いで巻き上がった土煙が突然発生した魔力によって吹き散らされ、そこには先程よりも膨大な魔力を纏ったメルが立っていた。


(やはりあの筋で繋がった者同士の攻撃はダメージではなく強化魔術になるかっ!)


「雷水複合‥‥嵐魔術付与!」

「ふむ、では現役勇者と私の最高傑作の力、正面から打ち破らせてもらおうか」

 メルが体に纏う魔力を二刃に流し込み、ヴィルマは剣を上段に構える。


「『ストーム・ブレイド』!!」

「『傲慢の(プライド・)断罪(ジャッジメント)』」

 十字と直線の斬撃が二人のちょうど間でぶつかり、魔力暴走が起こった結果、先程から不安定だった天候が悪化し、暴風雨が吹き荒れる。


「くっくっく、素晴らしい!!今のはかなり本気で魔人の魔力を注ぎ込んだのですが‥‥‥まさかこれと対等に渡り合うとは!

 流石は名目上は人類最強の存在である勇者の魔力を借りた私の最高傑作だ。やはり私の偽物の勇者との違いはこれか‥‥‥」

「偽物だと?そもそもトリンには勇者の力は殆ど受け継がれていない筈だ!」

「そう、だから造った(・・・)。運が良いことにギリスロンドに行けば素材は大量にありましたからね」

「素材‥‥‥?」

 勇者の素材など何処にも存在しない。

 トリンにあるのは親から受け継がれる常人を越える魔力量と強力な雷、光属性の力のみだ

 普通はその筈だが確かにトリンはほぼ同じ条件の人間であるシオンと比べて強すぎる。


「まぁこれは後で貴方達のお仲間にいる亡霊にでも聞いてみてください。とりあえず貴方達二人と雌雄を決するには早すぎる」

「亡霊?っ!待ちやがれ!!」

「そう言われて待つ人間はいません。‥‥『白龍神の幻光』」

「くっ‥‥‥はぁっ!!」

 魔力を使いすぎてふらつきながらも一番近くにいたメルが斬りかかったが、既に消え去った後だった。


「逃がしたか‥‥‥」

「トリンもいない。いつの間にか転移魔術を使ってたみたい‥‥‥」

 二人の間に暗い空気が漂う中、一人で奮闘してる人物がいた。


「二人とも!とりあえずこっちを手伝ってくれないかしらっ!?もう殆ど麻痺が効かないのよ!」

「っ!悪い!!」

「う、うん!ごめんコーネリア!」

 周囲を囲う大量の魔物に二人が向かっていくのを見てコーネリアはやっと一息つくことができた。


「よし、二人が抑えてくれるなら‥‥龍聖召喚、『ドラゴニック・」

「あぁ、忘れてましたね」

「オーヴァー』っ!?なっ‥‥‥」

 そして龍聖を追加で呼び出して魔物を一気に片付けようとした矢先に去っていった筈の男の声が背後から響いた。

 それに気づくと同時に胸に違和感を感じ、そこに目を向けると剣が飛び出していた。


「なん‥‥で‥‥‥」

「あの二人は私の次なる最高傑作と私で倒すと決めていますが二人の周りにいる強者はなるべく排除しておきたかった‥‥‥それだけです。漸く油断してくれましたね?コーネリア・ドラゴテイル」


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