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失くした未来のその先へ  作者: 夜霧
四章 ヤマの争乱
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傲慢な見えざる復讐者

 主観者 アーネスト・ノワール




 入り口から城の中へと入るとそこは迷いようがない一本道だった。

 事前に忍び込んだときにはそれなりにいりくんだ場所だった筈なのに。


「‥‥‥構造を変えたのか?」

「うーん、それよりは何か魔術を使ってるって考えた方が良いかもしれないわね」

「まぁ直進するだけで敵のもとに辿り着けるなら楽だ。さっさと行こうぜー」

 本当にハルクは楽観的に物を見すぎだ。

 まぁ今回は俺がそのフォローをしなければいけないのだが‥‥‥不安でしかない。


 そうしてハルクについていくが少し進んだところで気づいた。

 アリシアがついてきていなかったことに。


「アリシア?どうしたんだ?」

「うーん、二人ともごめんね?」

「あ?何か失敗でもしたのかー?」

 突然謝り始めたアリシアに近づこうと足を動かすがその直前に目の前からアリシアが爆音と共に消え去る。


「っ!?」

「アーネストっ!離れるぞ!?」

 俺の襟首を掴み、ハルクはその場から数メートル先へと離れる。

 その間、目の前に爆炎が複数回発生した。


「アリシア!!無事か!?」

「フッフッフ‥‥‥これで復讐は完了した!!いいザマだなっ!アリシア・ツヴァイ!」

 アリシアが吹き飛んでいった壁とは正反対の方向から歓喜の声が響く。


「ちっ!‥『サンダー・ランス』!」

「あ?ザコが粋がってんじゃねぇよ。『ファントム』」

 ハルクが雷の槍をその方向へと放つも空間が歪み、魔術は見当違いの方向へと向かってしまった。


「てめぇらは最強の俺に触れられねぇ。傲慢の魔人を宿す俺に勝てる者などいないっ!」

「最強って言うなら姿を見せやがれっ!」

「何故見せる必要がある。何故貴様らのようなザコに偉大な俺の姿を見せる必要がある。貴様らは俺に跪いていれば良いんだよぉ!!‥‥『ギガエクスプロージョン』!!」

「なっ!最上級魔術っ!?」

 最上級爆破魔術を声の主は軽々と放つ。


「『守れ!スヴァリンシルド』!」

 しかし、その魔術は光の盾に阻まれた。


「『縛れ、グレイプニル』!」

「ちっ、『ファントム』!!」

 大量の鎖が爆破魔術が放たれた場所へと巻き付こうとするが再び空間が歪み、狙いは外れる。


「あら、グレイプニルでも上手く狙いがつけられないなんて‥‥‥困ったわねぇ」

「アリシア!無事だったか‥‥‥」

「勿論よ、あれくらいで倒れてられないわ~」

 鎖が放たれた場所には少し埃のようなものが服についているだけで殆ど無傷のアリシアか立っていた。


「二人とも先に行ってて貰える?どうやら私に用事があるみたいだし」

「あ?逃がすわけねぇだろうが。ザコ二人も含めて相手をしてや‥‥『打ち据えろ、ミョルニル』」

 アリシアが雷を纏う鎚を投げるとそのよく回る舌を止める。


「うーん、外れちゃったか~。それにしても魔人の魔力って凄いわねぇ。ゲイル君みたいな平凡な人でもここまで強くなれるなんて」

「ゲイル‥‥‥、ゲイル・ストゥーピドか!」

 奴は元々最上級クラスの魔術など使えないしそもそも爆破魔術も使えなかったはず。

 魔人の力に目覚めただけで使えるようになるとは‥‥‥恐ろしいことだ。


「ちっ、ムカつくんだよ‥‥‥俺の‥‥俺自身の才能でここまで魔人の力を引き出してるっていうのに‥‥‥!てめぇらは全て魔人の力のお陰だと思ってやがるっ!」

「んー、でも実際そうじゃないの?元々は使えない魔術が使えるようになってるんだし」

「黙れっ!!『ギガエクスプロージョン』!!」

「『ここに豊穣の女神の加護を望む。我が身を守れ、ブリーシンガメン』!」

 再びアリシアが爆風に飲まれるが光の膜に包まれた彼女にそれは届かなかった。


「行くぞ、アーネスト。多分俺達が居る方が邪魔だ」

「くっ‥‥‥分かった」

 悔しいが俺はアリシアの実力には遠く及ばない。

 ここは大人しく任せることにした。






 主観者 アリシア・ツヴァイ




「あ、待ちやがれ!ザコ共!!」

「待つのはあなたよ、‥‥『創造クリエイト』フリントロック」

 先へ行くハルク達に目線が向いたのを感じとり、その隙を狙ってフリントロック式の銃を創造して事前に予想してあるゲイルの位置へと撃つ。

 しかし、流石に当たらなかったのか弾丸は壁に当たり、跳弾する。


「うーん、透明な敵とはたまに出会うけど本当に厄介ね」

「厄介?はは、冗談をいう。俺は貴様にとって最大の脅威だろうが!?」

「脅威?‥‥‥ふふ」

 その言葉に少し笑ってしまった。


「何が可笑しい!?」

「いや‥‥ごめんね。‥‥ふふふ、そうね、脅威ね」

 確かに見えない相手というのは厄介で面倒な相手ではある。

 だがアリシアにとって脅威にはなり得ない。


(私はもうもっと恐ろしいものによって壊れてる‥‥‥この程度は何も脅威じゃない)

 アリシアは先程から開いていた本に先程書いたフリントロックを二、三とどんどん書き足していく。


「あなたの『ファントム』‥‥‥だったかしら?それの限界を試してあげる」

「あ?どういう意味だ」

「今から見せてあげる。‥‥『創造クリエイト』フリントロック」

 言葉を紡げば先程現れた銃が百丁近く創造される。


「透明な相手には面攻撃で避ける隙間を無くす‥‥‥定石でしょう?」

 アリシアが二人に先を急がせたのはウィリアムの指示もあったがこの面攻撃をするためでもあった。

 これをするためには味方(ハルク達)は邪魔だった。


「ちっ!『ファントム』!!」

「『グレイプニル』掃射開始」

 その瞬間、城内には大量の銃撃音が鳴り響いた。

 

アリシアのフリントロックは普通に調べたら出てくるフリントロックカービンをイメージしていただけると幸い

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