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田園調布出身若夫婦がついに?アイロンパーマか?

天下茶屋の富子と尼崎の茂子に連れられて里美は新世界のアイロンパーマ専門のアイパの為吉の店で、人生初のアイパをする羽目になった。


「おじゃまさん!」

富子と茂子がツイントークする。


「なんや!富ちゃんと茂ちゃん!二人揃って…?」


「あんな、わてら二人がするんとちゃうねん。この娘っ子に為吉必殺のアイパいったってくれへん?とないやちゅ〜ねん!」


「この娘っ子を!あてと同じ髪型にしたってんか…?」


「なんや、そゆことか?お安いご用で!しゃ~けどちーとばかし待ってんか…!今しがた東京から転勤してきた兄さんをアイロンでガチガチ固めてるとこやさかい!」


「ちょと待て!ちょと待…?。東京から転勤してきた兄さんやて?」


またも二人のツイントーク。

その声にアイロンでガシガシ固められた兄さんが振り返った。


里美の眼が点になる。散髪台に座っていたのは、なななななぁ~んと夫の崇仁だった。


「なにしてんの?あんた?」


「そっちこそ!なにしてまんねん?里美?」


夫の崇仁は天下茶屋の倉庫に左遷されてからは、仕事に嫌気がさして会社に行く振りしては新世界の串カツだ●まで呑んだくれていたのだった。そこで知り合ったのがアイパの達人為吉。意気投合した二人は、為吉の薦めもあって崇仁はアイロンパーマをすることにしたのである…!


崇仁が(株)四菱物産天下茶屋倉庫に嫌気がさして、毎日新世界の串カツだ●まに出入りするようになって数週間が過ぎた頃…!カウンター席の隣り合わせに、一人の厳ついガチガチアイパーの浪花のおっさんが座った。


「兄さん?ほぼ毎日見かけるねんけど、あんたビール呑み過ぎとちゃうか!?」


「ビールでも呑まないと、心が折れてしまいそうなものですから…」


「なんや!あんた地の人ちゃうな?どっから流れて来ましたんや?」


「はい…東京の田園調布からです」


「なんやて?田んぼ行ったら調子悪なったてか?どんなとこやねん?まぁええわ!何処から来てもウェルカムやさかい新世界は!」


「ありがとうございます。僕、自分自身を変えたいのですが。なにか良い方法ありますでしょうか?」


「そやなぁ~…!あんたのその髪型どないかなれへんか?なんや地割れみたいにセンターで分けよって。わしみたいに男はガチガチのアイパーで決めたらんかい!」


「なんでしょうか?そのアイパーとは?」


「アイパーちゅ~たら!アイロンパーマに決まっとるがな兄さん。エエか!熱々のアイロンゴテで髪の毛引っ張るんや!あの横山のやっさんや、ちゅ~ねん!」


「申し訳ありませんが、よく分かりません?」


「あぁ~しんど!いちいち説明しとったら明後日になってまいよんで実際問題!そや!わしアイパーの為吉ちゅ~ねん。わしの店であんた髪型から変身さしたろ!心配せんでええ。金なんぞ貰えへん!隣に座ったよしみや!」


アイパーの為吉の一気攻めで崇仁は思わず頷いてしまうのであった。


「ではよろしくお願いします…」


二人揃って串カツだ●まを出ると為吉が崇仁の足元を、じっと眺める。


「なんや兄さん?その靴は!先の尖ったブッチャーみたいな靴やないかえ。兄さんの爪先どこまであんねん?あかんあかん。ここ新世界ではツッカケや?ええとこ知っとるから買いに行こけ!」


「恐れ入りますが、ツッカケとはどんなものでしょう?」


「ツッカケちゅ~たらツッカケや!面倒臭いやっちゃで!ほんま実際問題!」


しばらく歩くと為吉行きつけのツッカケ専門店"履き倒れ"に着く。


「邪魔すんでぇ!おばはん!」


奥から出て来たのはサイとカバをたして!2で割ったようなおばはんだった。


「なんや為吉っあん!えらい男前連れて?」


「こいつに店一番のツッカケ見せたってや!」


「毎度おおきに!まかしとき!」


崇仁の前にそっと差し出されツッカケ。店で一番のツッカケ。新世界の定番ツッカケ。


しかして、そのツッカケとは?

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