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さて、木内君の顔も見たし、手芸部のファッションショーまで時間があるので、亮くんと文化祭を周りましょう。


「手芸部の展示とかは特別棟の方の教室にあるから、良かったら見ていって」

「分かった! 頑張ってね木内君」

「はは…まぁ、適当に頑張るよ」


木内君に手を振り教室を出ると、一般のお客さん達が私達に注目した。

まぁ、中が一切見えない、しかも毛筆でメルヘンとか書いてある喫茶店とか、入り辛いもんね。


「特別棟ってどっちかなぁ?」

「ここからだと、あっちの階段で一階降りて渡り廊下だな」

「よ~し、れっつご~」


パンフレットで地図を確認して出発です。

特別棟って、所謂実験室とかがある棟みたいですね。

声楽部とか科学部、DIY部? とか書いてある。文化系の部活の展示ばかりです。体験とかも出来るっぽいかな?


とりあえず近い教室で、気になった場所をチラチラ見つつ手芸部の部室へ向かいます。


「おぉ…広い…凄い……」

「壮観だな」


手芸部の部室 ‐ 家庭科室とは別に、手芸部単体で持ってるらしいです ‐ は、廊下の端の教室、丸々二つ分でした。

教室二つじゃないんです。二つ分の広さプラス廊下分の、一つの教室です。

廊下の突き当たりに扉があって、教室がズドン、って存在してます。


ドアを入ってすぐに目につくのは、中央に立つトルソー。

真っ白な、ウェディングドレスです。

近付くと良く分かるんですが、これ、総レース? あ、違うわ良かった、びっくりした~。

七分丈の袖から、ウエストの切り替えまではレースがあしらわれていて、スカート部分はAラインなんだけど、素材がシフォンかな? 凄く薄くて軽そうな布が何枚にも重なっているから、動くたびにスカートがふわふわ舞いそうです。下の方の布はオーロラ色っぽいかな?

レースも繊細で緻密な柄です。薔薇モチーフかな? あと蔦と葉、あ、蕾も編まれてる。

ヴェールはシンプルに、縁取りだけレースが付いたロングヴェールですね。


「………素敵……」


真っ白なウェディングドレス。女の子の憧れですね。

基本的なドレスの形だけど、素材とレースの柄のおかげで全然野暮ったくなってない。お姫様ドレスですね。

思わずため息が出ます。


「やぁやぁ、神代さん」

「ふぇっ!? ……飯塚先輩」


毎回気配消して背後に立つの止めて欲しいです。心臓に悪い。

亮くんも驚いてるよ、どんだけ気配無いんですかあなた。


「お久し振りです。先輩は相変わらず元気そうですね」

「何かトゲのある台詞だね。あ、君が噂の彼氏君だね。格好良いね、色々似合いそうだ」


飯塚先輩が亮くんを上から下までじっくりと観察するように眺めてます。

危険です。慌てて亮くんを隠すように前に出ます。

飯塚先輩に捕まったら文化祭、まわれなくなりますからね。

さぁ、飯塚先輩のことは居ないものとして、展示はじっくり見たいです。

亮くんの手を引いて、端から見ていきましょうか。


入り口横には、小物ですね。

ピアスやイヤリング、ネックレスやブレスレット。チョーカー? ブローチも可愛いです。

指輪? 小物入れ? ……まぁ、手芸の範囲ですかね?

その隣には服飾系の小物ですか?

手袋にネックウォーマー。あ、マフラーは別にありますね。帽子も色々種類があるし、ん? 靴下まで手作りですか。

鞄もあるし、こっちは皮革が多いかな? キーケースとか財布、定期入れ。あ、携帯ストラップもある。

……この飾ってある革靴も作ったとか言わないよね?


一つずつにわぁわぁひゃあひゃあ言う私に、亮くんが苦笑しながら、落ち着け。と宥めてきます。

いやだって、凄いよこれ。全部手作りですよ!


「いやぁ、今年も良い人材が沢山だね」

「………先輩、私達と一緒に見なくても良いんですよ?」

「まぁまぁ良いじゃないか。お、あっちは服だね」


飯塚先輩がずっと着いてくる。

というか、亮くんを連れていっちゃうんですけど? 亮くんと手を繋いでる私も、結局一緒に連れていかれる。

仕方なく飯塚先輩と見ていく。

服といっても色々ありますよ。

男女のスーツ、Tシャツにパーカー。スカートにジーンズも。

まるで服屋さんのようですが、これ高校生が作ったんですよね。器用です。


「あ! 先輩!」

「や、久しぶりだね」

「先輩、来てくれたんですか」


飯塚先輩を知ってるってことは、手芸部の人達ですかね。

あっという間に囲まれた飯塚先輩。


「さ、亮くん、今のうちに行こうか」

「…そうだな…」


笑顔で言った私に、亮くんがちょっと笑った。いやだって、解るでしょ、何となく。


飯塚先輩が囲まれて喋っている間に、教室を出ていきます。

次に向かうのはグラウンドです。

屋台が出ているのです。お祭りですからね、せっかくなので屋台ご飯でお昼にしましょう。


「フランクフルト、焼きそば、お好み焼き、野菜炒め? あ、園芸部が育てた野菜使用って書いてある」

「結構種類があるな。豚汁や焼き魚まである」

「ね~。どれも美味しそう」


目移りしつつちょっとずつ買って、亮くんとシェアしながら食べました。

さぁ、あとはファッションショーですよ!

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