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人狼ゲーム部 ~推理とウソと裏切りと~  作者: アレキサンドライト
第一部
4/4

3日目 ゲームの前には自己紹介①

大変遅くなりましたがようやくの更新です!

そして放課後、エマに連れられたマミは3階奥に位置する第三会議室前にいた。


エマによると、普段料理研究部員はその隣の調理室で作った料理をこの第三会議室にて食べることにしている...というのは建前で、ほとんど会議室としての機能を果たしていないこの部屋は人狼ゲームをするのにうってつけなんだそうだ。



「さあさあ、いよいよ人狼ゲーム部へ出陣だよ~」

と、あのどこか胡散臭い笑みを浮かべてエマはドアをノックした。



コンコン



「あれ、反応がない。」

「誰もいないんじゃないの、エマ」

「え、そんなはずはないよ~、だって私たち以外のメンバーはもう中にいるってさっき連絡があったし。あれえ?」



コンコン



再びノックをするとようやく返事が返ってきた。



「…はーい、いますー。でも今手が離せないのでそっと、そーっと入ってきてくださーい。」

と、小声が聞こえてきた。



「あ、なるほどね。」

「何が?」

「もう先に来た人たちで人狼ゲーム始めちゃっているみたい。だから最初のノックに気づかなかったのね。まあそうと分かれば話が早い。」



言うが早いがエマはそっとドアを開け中に足を踏み入れた。それに続いてマミも中に入った。そして、その目に飛び込んだのは-----------



8人の男女。1人の女子がメモ用紙のようなものを持ちつつ声を発している(おそらく先ほどエマの声に答えた人なのだろう)。残り7人はドーナツ状に並べられた椅子に座っている。そこまではいい。



問題なのはその7人のたたずまいである。全員が頭を下げ、目を閉じ、一切の声を発することもない。中には一心不乱に自らの膝を叩き続けている者までいる。もしこの中心に神をかたどった像を置いてみればあら不思議、新興宗教団体と間違われても何ら不思議のないかのような異様な光景であった。



思わずポカーンとそれを見つめ続けていたマミを尻目に、エマが唯一立っていたその女子に声をかけた。



「お疲れ様~マリアちゃん。もうゲーム始まっちゃってたんだね。」

「エマぴょん!今ちょうど役職確認終わったところなの。あ、もしかしてお隣さんがエマぴょんのお友達?」

「そうだよ~、この子が日野原真実ヒノハラ マミさん。」

「やっぱり!...となると」

マリアちゃんと呼ばれたその女子は一瞬考え込み、続いて謎のドーナツ型集団に呼びかけた。



「みんな!いったん顔挙げて!」

するとドーナツ型集団全員がなんだなんだと言いたげに顔を上げ、エマとマミの方を見た。



「お、エマちゃんもしかしてその子が例のお友達?」

「わーい、やっと人が増えたね。」

「てか、突っ立ってないでさっさと入ってもらおうぜ。」

「あ、それもそうだ。ごめんね気が利かなくて。さ、入った入った!」

7人の男女がわいわい盛り上がる中、マリアちゃんとやらに誘導されようやく腰を落ち着けることに成功した。それはいいのだが、



(なんか、勝手にドーナツの中に組み込まれた!)

問答無用と言わんばかりに椅子を円の中に加えられそこに座らされたのであった。



「それで、確か日野原真実ヒノハラ マミちゃんだったっけ?」

「はい、そうです。えーっと、マリア、さん?」

「そうそう、マリアです!よろしくね!ところで、エマからはどこまで話を聞いてるの?」

「確か、料理研究部に入部したと思ったら実はそこは人狼ゲーム部で、しかも今日は人が足りないから私にも来てほしい、というようなことを言われました。」

「おっけー!じゃあさっそくだけど人狼ゲームのルール説明を始めるね!人狼っていうのは...」

「はいストップ!まずはうちらの自己紹介からじゃない?」


と、止めが入った。声の主の顔には若干の見覚えがある。確か隣のクラスの中条君、だったか。彼も料理研究の一因だったとは知らなかった。



「あ、確かに!ごめんごめん、いつも突っ走っちゃうんだよねー、私!」

そういったマリアはくるっとこっちを向くと自己紹介を始めた。



「改めまして、料理研究部こと人狼ゲーム部にようこそ!私は1年B組の渡辺真理亜ワタナベ マリアです!今日は来てくれてありがとう!」

ショートヘアを揺らした彼女は快活に話し、続いて自分の目の前に座っている中条君を見た。



「じゃあ、マサキから順に時計回りに自己紹介お願いしまーす!」

「はいよ。俺は中条正樹ナカジョウ マサキ。同じくB組。よろしく!」

マサキは白い歯を光らせてさわやかに挨拶をした。

「私は志村綾音シムラ アヤネ。C組だからほとんど話したことはないね。これからよろしく。」

アヤネはストレートの黒髪にやや高身長。はきはきとした話し方が特徴的であった。

「...俺は島崎斗真シマザキ トウマ。よろしく。」

「あれ、島崎君って料理研究部だったっけ?」

ここでマミが首をかしげる。記憶が正しければ彼はサッカー部所属のはずだ。マミとトウマ(と、ついでにエマ)は同じA組であるので初対面ではない。だからマサキやアヤネよりは彼のことを知っていたマミはここで疑問に気付いた。



「あれ、エマぴょん言ってなかったの?人狼ゲーム部はあくまで非公式な部なの!で、お菓子の試食会っていう化けの皮をかぶって他の部の人狼フリーク達をこっそり集めているのよ!」

マリアはかわいらしくウィンクをした。



「へー、わざわざそれのために...」

マミは少し驚いた。人狼というのは、本来の部活をこっそりサボらせてしまうほどの魅力のあるゲームなのか。




長くなりすぎたので②に続きます。そのまた次の話でいよいよゲーム開始です!

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