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時折、あなたが怯えるような視線を向けていることも、薄々は気付き始めたの。
何かがあなたを怖がらせている……?
あの女には、私から注意をしたわ。
だったら他に何があるというのかしら。
次は何があなたを脅かしているというのかしら。
あなたを穢す存在は、この私が許さないわ。
最近、レンズ越しに見ていると、あなたと目が合うことが増えているような気がするの。
やっとあなたは私に好意に、そして私への好意に気が付いたということなのね。
その瞳が怯えたように見えるのは、どうしてなのかしら。
私はあなたのことを想っているのよ。
まさか、あなたを脅かす何かと、私とを間違えているのかしら。
純粋だったはずのあなたが、疑いというものを知ってしまったのかしら。
だれかがあなたに知らしめてしまったの?
悪というものの存在を……。
そんな存在があるというのなら、すぐに消してしまわなければならないわね。
許さない。許さない。この私が許さない。
許せない。許せない。この私には許せない。
待っていてちょうだい。
すぐに見つけ出して、あなたを怖がらせる何かを、きっと私が消しましょう。